苦しい立場に置かれる角田。この苦境を脱する術は残されているのだろうか。(C)Getty Images 本拠地開催のGPで…

苦しい立場に置かれる角田。この苦境を脱する術は残されているのだろうか。(C)Getty Images

 本拠地開催のGPで、F1の名門は不振を象徴する結果を迎えた。

 去る6月29日にレッドブル・リンクで開催されたF1今季第11戦のオーストリアGPでレッドブルは今季初となるノーポイントに終わった。エースのマックス・フェルスタッペンはスタート直後での他車との接触でリタイヤ、さらにセカンドドライバーの角田裕毅も完走したマシン中最下位となる16位と低迷した。

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 レッドブル本社のお膝元を舞台とした一戦での不本意な結果は、不振が続くチームへの風当たりを強くさせた。とりわけ予選でもQ1敗退、18番手と振るわなかった角田裕毅に対する評価は、よりシビアなものと変貌している。

 直近4戦連続でポイントを喪失している角田は、3月末の緊急昇格によるレッドブル加入以降での合計獲得ポイントもわずか7。お世辞にもチームに貢献が出来ているとは言い難く、巷では更迭の噂が尽きない。その中には、レーシングブルズの新人アイザック・ハジャーや、育成組織で走る17歳の超新星アービッド・リンドブラッドなど、候補者を具体的に伝えるものもある。

 かつてないほど厳しい立場に身を置いている。そんな角田の去就を巡ってはチーム内でも議論が交わされているという。オランダのモータースポーツ専門サイト『Racing News365』は「レッドブルはツノダの最近の苦戦を受け、『社内協議』を認めている」と銘打った記事を掲載。不振を極める25歳の日本人の現況を「将来に関して深刻な疑問が生じている」と断じた。

 先述のオーストリアGPでの結果について「恐ろしいレベル」と批判した同メディアは、「陣営内ではツノダに何が起こっているのか、そして彼を助ける方法はあるのかを判断するための話し合いが行われている」と断言。そして、クリスティアン・ホーナー代表のコメントを伝えている。

「ユウキはまたQ1で調子が悪くなり始めた。最初の走行は良かった。2回目の走行ではターン1でミスを犯し、予選でひどい結果になった。そして最後は混戦に巻き込まれて追い越すこともできず、ペナルティを受けて、事態はさらに悪化した。もちろん、彼を支援する術を探るつもりだが、2台の車(フェルスタッペンと角田)には大きな差がある。そして、当然ながら、内部では皆さんが疑問に思うのと同じように、『なぜ?』という問いが投げかけられている」

 ホーナー代表のコメントを伝えた『Racing News365』は、「プレッシャーを受け続けるツノダが上位陣に抗うための策はほとんど見られていない」とも指摘。操作困難とされるマシン『RB21』に苦心する状況が続く角田に残された改善の可能性が少ないと分析している。

 暗中模索の日々を繰り返す角田。チャンスも狭まっていく中で、レッドブルで生き残るためには、「結果」を出すことのみが求められるが……。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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