◇米国男子ツアー◇ジョンディアクラシック 事前(2日)◇TPCディアラン(イリノイ州)◇7289yd(パー71)今週に…
◇米国男子ツアー◇ジョンディアクラシック 事前(2日)◇TPCディアラン(イリノイ州)◇7289yd(パー71)
今週に入って、大西魁斗は2年前の写真や動画を見返していたという。米下部コーンフェリーツアーに初めて挑んだシーズン中、桂川有人とともにマンデートーナメントを突破して出場権を得たのがこの大会。小平智も含めた3人の思い出を振り返りながら、「『若いなー!』って思いましたね」とさわやかに笑う。当時と比べれば、細かった身体が徐々に大きくなり、スイングも良くなっている。成長を実感する一方で、最高峰のPGAツアー昇格1年目の現実は決して甘くない。
ここまで14試合に出場して予選通過が3試合。4月「コラレスプンタカナ選手権」18位が最上位で、フェデックスカップポイントランキングは192位にいる。苦しんでいたパッティングで初めて長尺にトライしたのが3月「バルスパー選手権」でのこと。グリーン上が少しずつ良くなったと思ったら、今度は連戦の中で周りに対抗して飛ばそうとする意識が働き、スイングが乱れていった。
試合でミスが出た時、調子を落とした時にはスイングのメカニックを丁寧に自己分析し、内藤雄士コーチともやり取りして状態を上げてきた。キャリアを通しても同様。南カリフォルニア大3年時に不振に陥って一般就職も考えた時、内藤氏との出会いが夢だったプロへの道を切り開いた。米下部1年目で壁に跳ね返された時も、課題を感じたフィジカルを新たなトレーナーとともに鍛えて初優勝とPGAツアー昇格につなげた。
「人生は(そう簡単に)うまくいかないと思っているので。うまくいかないですけど、そこで学ぶので。もちろん、失敗しない方が楽ですよ。でも、失敗しないと、(強い意志で)何かを変えようと思わないですよね。(ロリー)マキロイのショットを見たら、それは(このままじゃ)戦えないなって思いますよ」
いま挑んでいるのは、ゴルフ人生で最も高い壁と言っていい。「唯一、コーンフェリーで学んだかなと思うのは、良くも悪くも“どうにかなる”ってことですね。今年シードを落としてしまっても、それが今の実力なので。そこから、どうやって上に上がっていくかが勝負」。変化は柔軟に取り入れつつも自分の芯をブラさず、失敗を糧にしていく。前向きな言葉の裏に、一貫したスタイルがある。(イリノイ州シルビス/亀山泰宏)