鳥取県立八頭高校野球部の徳永昌平監督(71)は、練習中、とにかく動き回る。 グラウンドで地面に立てたバットに手をかけ、…

 鳥取県立八頭高校野球部の徳永昌平監督(71)は、練習中、とにかく動き回る。

 グラウンドで地面に立てたバットに手をかけ、じっと部員の動きを見つめる。と思ったらいつの間にか、一塁側外の小高い地点に移動し全体を眺める。そして再びグラウンドに戻り、素振りをする部員を指導。今度はシートノック中の別の部員に声をかける。

 「ああ、変わってないですね。当時からそうでした。1カ所にじっとしていない」。野球部OB会長の村田泰規さん(56)は懐かしむ。「十分に力はある」「やればできる」。部員たちに粘り強く声をかけ続けてくれたことを覚えている。

 徳永監督のモットーは「全員に同じメニュー、同じチャンスを」。野球がうまい部員を優先することはしない。だから、練習中はよく動き、部員全員のプレーを確認し、とにかく声をかける。そして練習試合にも極力多くの選手を出す。

 村田さんと同級で現部長の藤原文夫さん(56)も「今も一人ひとりにちょっとずつ声をかけるんです。個々に合った指導をする」と話す。

 寺口芽生跳(めいと)主将(3年)は、スタメンにも1年生にもまんべんなく声をかける姿をいつも目にしている。「怖くはないけど厳しい。でも自分でも気付かなかった点を指導してもらえる」

 徳永監督は八頭から駒沢大野球部に進んだが、父親が病気となり半年ほどで中退。故郷に戻り就職したが、やがて母校の野球部での指導を請われ、1980年に監督に。八頭一筋で現在、鳥取県内で最年長の監督。これまで八頭を夏7回、春1回の計8回、甲子園出場に導いた。

 就任以来45年、監督を退いていた期間もあったが、これまで数多くの部員たちに声をかけ続けてきた。かつては指導に反論してくる部員やけんか腰の部員もいた。「今はそういうのは少ないですね。みんな仲良しこよしじゃダメなんですけどね」

 今の母校の後輩たちにはどういう思いで接しているのか。「八頭で野球をしたいと入ってくれた子を、良い形で育てたい。なせば成る、です。とにかくあきらめるなと言い続けたい」(奥平真也)