代表の軸となる石川の合流で、新生男子代表はまた違った姿を見せそうだ(C)Getty Images バレーボールの男子日本…

代表の軸となる石川の合流で、新生男子代表はまた違った姿を見せそうだ(C)Getty Images
バレーボールの男子日本代表は現地6月29日、ブルガリアで行われている「FIVBネーションズリーグ」予選ラウンド第2週のスロベニア戦に臨み、3-0(27-25、25-15、25-16)で勝利した。
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この第2週はブルガリア戦のストレート負けに始まり、フランス戦ではフルセットの激闘を制して歓喜、反対に続くウクライナ戦ではフルセットの末に敗れる、といった展開になっていた。それだけに、この最終スロベニア戦はファイナルラウンド進出を見据えたうえでも貴重な勝ち星だった。
とりわけこの第2週では見られたのは、巧みな選手交代である。フランス戦では2セットを奪われてあとがなくなった第4セット開始時から、アウトサイドヒッターとミドルブロッカーの計4名をまるごとチェンジ。そこで投入された大塚達宣(ミラノ/イタリア)と山崎彰都(ウルフドッグス名古屋)の両エース対角が逆転勝利の立役者となった。
また、敗れはしたもののウクライナ戦でも同様に第4セット以降はがらりとメンバーを替え、さらにはリベロも小川智大から最終的に藤中颯志(ともにサントリーサンバーズ大阪)へ交代。その日の登録メンバー14人全員がコートに立つ、まさに総力戦で勝利をつかまんとした。
最後のスロベニア戦では攻守で相手を圧倒したとあって、競り合った第1セットをのぞいてスタメンの選手たちが3セットを“完走”。それでも試合後にキャプテンを務める富田将馬(大阪ブルテオン)は「特にこの第2週は途中から入った選手がエネルギーを出して頑張ってくれたので。今日は最初からエネルギーを出していこうと話していました」とチームの戦う姿勢におけるリザーブメンバーたちの存在の重要性に触れていた。
この「エネルギー」という単語から思い出したのは、今年から男子日本代表の指揮を執るロラン・ティリ監督の采配である。2020-21シーズンに来日してパナソニックパンサーズ(現・大阪B)の監督に就任すると、そこではゲームチェンジャーとして誰が適任かを見極めながら采配を繰り出す姿も。試合後の記者会見で選手交代の意図を質問すると、「(その選手が)エネルギーをもたらす存在だったからです」とはよく聞かれたセリフだった。
今回の日本代表でいえば、オリンピックサイクルの1年目とあって、様々な選手を試す意図もあるだろう。と同時に、第2週を振り返って宮浦健人(ウルフドッグス名古屋)が「たくさんのメンバーが試合に出場しましたし、それぞれが結果を残して、いい経験ができている。層が厚くなっていると感じます」と語ったように、日本代表というチーム全体の底上げも図られている最中だ。
そうして7月中旬から日本で開催される予選ラウンド第3週からは、イタリアから帰国した石川祐希(ペルージャ)が合流する見込みであり、違ったメンバー構成でネーションズリーグの表彰台へ歩を進めることになる。コートに立って、チームにエネルギーをもたらす。そんな選手が一人でも増えることで、ここから日本はますます強くなっていくのだ。
[文:坂口功将]
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