スペイン・マドリッドで開催された「ムトゥア マドリッド・オープン」(ATP1000/5月1~8日/賞金総額477万1360ユーロ/クレーコート)。 初めて対戦してから10年。二人はお互いに将来を期待された10代の選手だった。 日曜日に行…

 スペイン・マドリッドで開催された「ムトゥア マドリッド・オープン」(ATP1000/5月1~8日/賞金総額477万1360ユーロ/クレーコート)。

 初めて対戦してから10年。二人はお互いに将来を期待された10代の選手だった。

 日曜日に行われた決勝で、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)がアンディ・マレー(イギリス)を6-2 3-6 6-3で下して優勝した。ジョコビッチはこれで今大会では2度目、ATP1000大会で単独トップとなる29度目のタイトル獲得となった。

 「10年経って、僕らは世界の1位と2位になった。当時の僕たちからしたらたぶん、僕らがそれを達成するのはすごくたいへんなことだと思っていただろう」と28歳のジョコビッチは言う。2006年大会の初対戦のときは、ジョコビッチがフルセットで勝っていた。

 「でも、僕らは今お互いにトップにいる。僕たちは12歳の頃からの知り合いだ。僕らがジュニアの頃のこともみんなは知っているかもしれないけれど、僕らはお互いに真剣にテニス界を征服してやると思っていたんだ」とジョコビッチは続けている。

 ジョコビッチは最後のゲームでは7度のブレークポイントをしのぎ、3度目のマッチポイントをものにしての勝利だった。ジョコビッチのATP1000大会29勝は、ラファエル・ナダル(スペイン)を1勝上回る数字だ。また、ジョコビッチの通算でのタイトル数が64となり、ビヨン・ボルグ(スウェーデン)やピート・サンプラス(アメリカ)と並んでオープン化以降で6番目に浮上した。

 マレーはこの敗退でロジャー・フェデラー(スイス)に2位の座を明け渡すことになった。

 「僕らは成長し、お互いをよく知って、オンコートでもオフコートでもとても長い間いい友人関係を結んできた。その彼と大きなライバル関係が築けたということに僕は満足している」とジョコビッチは言う。

 第1セットはジョコビッチの流れだった。だが、最後までお互いに接戦を強いた。ジョコビッチは25本のウィナーを記録したが、同じくらいのアンフォーストエラーをおかした。また、マレーは10本のサービスエースを奪っている。試合時間は2時間6分だった。

 最後のゲームももつれたが、最後はマレーの打ったフォアハンドがネットにかかっての決着だった。これでジョコビッチはトップ10選手を相手に15連勝とした。また、この間に彼は35セット中2セットしか落としていない。

 「これが彼が今のナンバーワンであるという理由だよ」とマレー。「あのゲーム(最後となったゲーム)では彼はハードにファイトしてきたし、少しナーバスになる中でサービスもよかった。最後は強くサービスを打ってきてフリーポイントをつくり、それをうまく生かした」。

 ジョコビッチはここ最近のATP1000の5大会で4勝目。そのうちの3つは今年のタイトルだ。彼は今大会までにインディアンウェルズとマイアミのATP1000大会を制していた。全豪オープンでもマレーとの決勝を制して勝っている。

 ジョコビッチの次の大会はローマのマスターズ、そして全仏オープンを迎える。彼は全仏オープンでは2度決勝で敗れている。

 「今季の最初の4ヵ月は素晴らしいものだった」とジョコビッチ。「ここにもコンディションに慣れるために、早めに来た。そして素晴らしい大会になったよ。特にローマや全仏オープンに向けても、サービスにすごく自信がついた。全仏オープンは最高の状態で迎えたいものだね」。

 今季のジョコビッチは最初のクレーコートの大会出場だったモンテカルロの2回戦で、イリ・ベセリ(チェコ)に敗退してのスタートだった。

 ジョコビッチがマドリッドの大会で優勝したのは2011年以来のことだ。

 昨年の決勝ではナダルを破って優勝していたマレー。今年は準決勝でナダルを破っての決勝進出だった。

 今季のマレーはクレーコートで印象的な快進撃を続けている。クレーコートは彼のキャリアを通じて苦戦してきたサーフェスだ。今季のモンテカルロでは準決勝でナダルにフルセットで敗れている。

 「僕は確実にクレーコートでもうまく動けるようになってきたと思う。それがものすごく大きな違いになっている」とマレー。「コートに立つときもナーバスになったり、不安に思うことがなくなっている。今はクレーでもいいプレーができると信じられているんだ」。

 この決勝の結果、マレーとフェデラーのポイントは同点で並んだが、規定でフェデラーが2位に浮上する。

 決勝で敗れたマレーだが、全仏オープンにおいては自分が優勝候補の一人であると考えているという。昨年の全仏オープンでは準決勝でジョコビッチに敗れていた。

 「数週間前からポジティブに考えられていて、それでモンテカルロの大会にも入れた」とマレー。「本当にいいプレーができていると思う。この先の数週間で何が起きるか楽しみだよ」。(C)AP