6月末の土日に夏の甲子園に向けた愛知大会が開幕、7月第1週からは聖地に向けた地方大会が続々とスタートする。 そんな中で、…
6月末の土日に夏の甲子園に向けた愛知大会が開幕、7月第1週からは聖地に向けた地方大会が続々とスタートする。
そんな中で、甲子園に出場すればベスト8以上を狙えそうな強豪校を紹介しよう。
超強豪校と呼べるSクラスは、横浜、健大高崎、智弁和歌山、仙台育英の4チームを挙げたい。この4チームは夏の甲子園優勝を狙える戦力を持っている。
投手力の高さ、高い得点力が魅力のセンバツ王者
まずは、やはりセンバツ王者の横浜だ。公式戦連勝記録は関東大会準決勝で止まったが、村田 浩明監督は「連勝よりも夏のほうが大事」と強調。主力選手を休ませながら、夏へ向けて調整してきた。
ポイントゲッターの阿部 葉太外野手(3年)は5月の招待試合で足を怪我したが、神奈川大会前に復帰した。攻守の要である阿部の復帰で、打線は勢いが生まれそうだ。
投手では152キロ右腕・織田 翔希投手(2年)、146キロ左腕・奥村 頼人投手(3年)の2枚看板がしっかりと実力を発揮しそうだ。この2人に続いて、ショートの池田 聖摩内野手(2年)が投手としても急成長してきた。常時140キロ中盤・最速150キロ近い速球、キレのあるスライダーで翻弄する投球は爽快。池田のすごさは仕上がりの早さ。準備が短くてもフルスロットルで140キロ台の速球で圧倒できる。接戦時では頼りになる存在だ。
ほかにも厳しいワンポイントをこなし、セットアッパーとして絶大な信頼が置かれている146キロ左腕・片山大輔投手(3年)、スライダーの切れ味が鋭い山脇 悠陽投手(3年)、リリーフとして控える前田一葵投手(3年)が控える。投手陣は万全だ。
打線に長距離砲はいないが、阿部、為永 皓内野手(3年)、奥村 凌大内野手(3年)の3人を中心にバットコントロールの良い選手が揃っている。
メンバーが固定されているが、ここに新顔が出てくると、チームの隙はなくなるだろう。
158キロ右腕、トミー・ジョン手術から復活した左腕など投打ともに盤石な健大高崎
センバツ準決勝で横浜に敗れたが、春季関東大会では優勝を決めた健大高崎。最速158キロ右腕・石垣元気投手(3年)の仕上がりは順調で、常時150キロ台の速球、140キロ台のフォークを投げ込む。関東大会ではクローザーとして登板していたが、青柳博文監督も関東大会での取材で「後ろに球速が速い投手がいるのは大きい」と語っていた。フォームの力みが抜け、以前よりも回転の良い直球、カーブを投げられるようになった。
まだ日によって制球が荒れる試合はあるが、この課題を解消すれば、常時150キロ台の速球で打者を圧倒する投球が期待できそうだ。
先発として安定感のある投球を見せる下重 賢慎投手(3年)は、春季関東大会ではリリーフの場面で140キロ中盤の速球を投げ込み、センバツよりも状態を高めた。
また、頼もしい戦力が帰ってきた。トミー・ジョン手術で離脱していた佐藤龍月投手(3年)が復活したのだ。まだショートニングの予定だが、140キロ台の速球はやはりキレがある。
ほかにも技巧派左腕・山田 遼太投手(3年)、関東大会で好投を見せた石垣 聡志投手(1年)も浮上してきた。
打線では、俊足の石田 雄星外野手(2年)が関東大会で大当たり。小堀 弘晴捕手(3年)、加藤 大成内野手(3年)などレギュラー陣の長打力は横浜以上だ。新戦力が台頭している。
投打ともに役者が揃う智弁和歌山/仙台育英の圧巻投手陣

センバツ準優勝の智弁和歌山も戦力が充実している。
エースの渡邉 颯人投手(3年)はゲームメイク能力が高く、安定して試合が作れる。最速152キロ右腕・宮口 龍斗投手(3年)は中継ぎだけではなく、先発としての能力も高まっており、2枚看板で勝負できるようになった。リリーフでは、140キロ中盤の速球を投げ込む右腕・田中 息吹投手、伸び盛りの2年生右腕・和気 匠太投手(2年)と右投手が中心。1年生左腕・井本 陽太投手は打撃力も高く、貴重な左投手枠としてベンチ入りしそう。春季近畿大会では4回無失点の好投を見せている。
打線は福元 聖矢外野手(3年)、U-18代表候補に入った藤田 一波外野手(3年)などスイングが強い打者が揃っている。超高校級の投手と対戦した時に打ち崩せる対応力を身につけることができれば、夏でも全国上位が期待できる。
仙台育英の圧巻投手陣
センバツ出場校以外の学校で頂点を狙えるのは仙台育英ではないだろうか。とにかく投手陣の力量が高い。
春季東北大会でベンチ入りした6投手の球速は、いずれも140キロを超える。まずエースの吉川 陽大投手は最速147キロの速球、鋭く落ちるスライダー、カットボールを投げ込み、三振を量産する。強豪が揃った春季東北大会で、14.1回を投げ、15奪三振、自責点1の快投。吉川のスライダー、カットボールを捉えられる打線はなかなかいないのではないか。
140キロ中盤の速球、スライダーで勝負する左腕・井須 大史投手(2年)もゲームメイク能力が高い。長身右腕・尾形 陽聖投手(3年)、刀祢 悠有希投手(3年)、梶井 湊斗投手(2年)も140キロ中盤の速球を投げ込む。リリーフとして安定感の高い投球を見せる吉田 瑞己投手(3年)も最速140キロを計測する。ベンチ入り投手全員が140キロ以上で、さらに120キロ後半の変化球を備えている。空振りが奪える変化球をしっかりと持っており、実力差が小さい。
打線は川尻 結大捕手(3年)、プロ注目スラッガー・高田 庵冬内野手(3年)など強打者が揃い、須江航監督も「長打力は歴代でもNO.1」と絶賛するほど。この布陣に1年生ショート・砂 涼人内野手が加わった。砂は1年生離れした野球頭脳と守備力を持つ。ヒット性の打球を阻止し、チームのピンチを救ってきた。バント技術も高く、スクイズを難なく決める。砂の加入により得点パターンが増えた。
全国での躍進が狙える名門Aクラスチーム
上述したSクラス4チームに続く実力を持つAクラスチーム6校を紹介していきたい。
まずは春季九州大会優勝の神村学園。投手陣が充実している。150キロ右腕の早瀬 朔投手(3年)、右腕・千原 和博投手(3年)、龍頭 汰樹投手(2年)、左腕・窪田 瑶投手(3年)の4投手が控える。
打線はプロ注目の遊撃手・今岡 拓夢内野手(3年)、入耒田 華月外野手(3年)が中心だが、打線は他の強打のチームと比べると、一歩物足りない。早めに先制点を奪い、強力な投手陣で守り勝つチームだ。
春季近畿大会優勝の東洋大姫路は、全国でもトップクラスの強打のチームだ。強力投手陣を誇る大阪桐蔭にコールド勝ちを収め、高校球界関係者に衝撃を与えた。大阪桐蔭と練習試合をしたことがある強豪校関係者は「あの大阪桐蔭を相手に、コールド勝ちとはすごい」と語った。
大阪桐蔭戦で本塁打を打った高畑 知希内野手はもともと守備力の高いショートだったが、この1年で打てるポイントが広くなり、さらに長打も打てるショートへ変化している。レギュラー陣が打ち返す打球の速さは一歩抜けており、間違いなく打線はSクラスだろう。しかしチームとしてSクラスと推せないのは投手陣が未知数なこと。春の大会では147キロ右腕・木下鷹大投手(3年)がエースとして君臨したが、それ以外の投手はまだ実績不足。阪下 漣投手(3年)が復帰できるかどうかでだいぶチームは変わる。この夏は強力打線で援護し、木下以外の投手の経験値を高めることができれば大きい。
山梨学院は春季関東大会ベスト4。健大高崎と接戦を演じ、球界関係者からの評価も高い。野手のスキルの高さは横浜、健大高崎に匹敵する。合理的なレベルスイングで、内野、外野の間を抜く鋭い打球を放ち、着実に点を重ねる。投手陣では152キロ右腕・菰田 陽生投手(2年)に加え、関東大会では檜垣 瑠輝斗投手(2年)が試合を作れる左腕までに成長した。この夏までにほかの投手たちが成長できるか。
浦和学院は春季関東大会で横浜と接戦を演じた強打のチーム。埼玉県大会では9本塁打を放った。藤井 健翔内野手(3年)、垣内 凌外野手(3年)、西田 瞬内野手(3年)を中心とした打線の破壊力、長打力は全国NO.1だろう。投手陣は横浜、健大高崎のように超高校級の投手陣はいないが、左腕・岡部 修弥投手(3年)、右腕・吉井 蓮太郎投手(3年)の2枚看板に加え、制球力が高い伊藤 漣投手(2年)で守り切る。得点パターンを増やし、先制点を与えず、強打を発揮しやすい心理的な状況を作ることが甲子園出場のカギになる。
センバツで横浜と打撃戦を演じた沖縄尚学は、投打ともに強力だ。6月の招待試合では東洋大姫路と対戦し、1対0で完封勝利を収めた。150キロ左腕・末吉 良丞投手(2年)、右腕・新垣有絃投手(2年)、左腕・久高 大瑚投手(2年)の2年生投手陣が中心。打線はU-18代表候補に選出された真喜志 拓斗内野手(3年)、比嘉 大登内野手(3年)を中心にバットコントロールの良い打者が揃う。スラッガーはいないが、判断力の高いプレーを見せる選手が多く、小技もうまく着実に点を重ねることができる。投手陣もまだ経験値が浅く、超高校級のスラッガーもいないが、守備力も非常に高く、全国での躍進も期待できる。
大阪桐蔭は、投手力については健大高崎、横浜、仙台育英、智弁和歌山の4強と遜色ない。中野 大虎投手(3年)、森 陽樹投手(3年)、吉岡 貫介投手(2年)、左腕・佐井川 湧牙投手(3年)の4枚看板が試合を作る能力は高い。あとは打線をどこまで仕上げることができるか。大阪大会までに走塁、守備の判断力を高め、接戦を勝ち抜けるチームにしていきたい。