芝での熱い戦いが繰り広げられるテニスの4大大会、ウィンブルドン選手権。今年は開幕前から、欧州を覆う熱波による「暑い戦い…

 芝での熱い戦いが繰り広げられるテニスの4大大会、ウィンブルドン選手権。今年は開幕前から、欧州を覆う熱波による「暑い戦い」が話題だ。

 英国気象庁の6月30日朝の予報では、会場があるロンドン南部の最高気温は33度とされた。

 過去、開幕日に記録した最高気温は2001年の29・3度だったが、英BBCは午後4時に32・3度を記録したと報道。1877年に始まった「世界最古のテニス大会」の歴史を塗り替えた。

 ちなみに、大会期間中に最も高い気温を記録したのは15年7月1日の35・7度だという。

 英国では、エアコンを設置している一般家庭は、ごく少数派だ。地下鉄も古くからある路線の大半は冷房がない。満員だと蒸し風呂状態になる。「電車に乗るときは水の持参を忘れずに」。気温が上がった日は脱水症状を防ぐ呼びかけが、駅の放送で日常的にある。

 大会前の選手の記者会見でも、「熱波」を想定した質問が飛んだ。

 男子の世界ランキング4位で地元期待のジャック・ドレーパー(英)は「特に対策は考えていない。昔の英国はひどい天気に付き合わされ、寒かった。暑い時期の米国遠征は順応が難しかった。でも、もう数年ツアーに出ているし、暑さには慣れてきた」

 21年全米の女子シングルス優勝のエマ・ラドゥカヌ(英)は「英国の猛暑は、実際の気温より暑く感じる。水分補給などやるべきことはすべてやる」。その宣言通り、30日の1回戦でストレート勝ちした。

 昨年のウィンブルドン女子シングルスで準優勝したジャスミン・パオリーニ(イタリア)は「暑いのは好き。全員にとって晴れている方がいいと思う」と歓迎していた。その言葉にうそはなく、うだるような暑さを苦にせず、1時間51分の激闘を制し、2回戦に進んだ。

 女子シングルスで敗れた内島萌夏(安藤証券)は「ウィンブルドンは雨が降ったり、寒かったりという印象があったので……。でも、最後まで戦い切れてよかった」。予想外の酷暑下の消耗戦を振り返った。(ロンドン=稲垣康介)