作新学院の小針崇宏監督に6か月間の謹慎処分が下された。(C)産経新聞社 その処分は厳罰か、激甘か――。SNS上の声は二分…

作新学院の小針崇宏監督に6か月間の謹慎処分が下された。(C)産経新聞社

 その処分は厳罰か、激甘か――。SNS上の声は二分化されました。

 日本学生野球協会の審査室会議が6月20日に開かれ、高校13件、大学1件の不祥事について処分が決まりました。

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 中でも、甲子園優勝歴のある栃木の名門高校の監督の処分は注目を集めました。一塁を守る2年生部員に、「素手捕球」を指示した結果、その部員が右手薬指を2か所骨折し、手術するなど全治2か月のけがとなってしまいました。これが「監督の危険行為」と判断され、謹慎6か月の処分が下ったのです。その前から学校側はすでに謹慎を言い渡し、「夏アウト」で監督を交代し、栃木大会に臨むことになりました。

 スポーツ紙のデスクは言います。

「一昔前の硬式野球経験者の間では、『謹慎6か月は重い』との同情論も聞こえてきます。昭和では熱血指導者からノック中に『グラブを外せ!』と言われた経験のある人もいることでしょう。むしろそれが美談として語られることも多かった。しかし、今回の件はノックの打球ではなく、送球を素手で捕球して起きた事故です。正直なところ、それで野球が上達するとは想像しにくく、普通の指導者なら負傷のリスクを先に考えてしまうもの。地元の名士で、名将と呼ばれた方ですから、最悪の事態に思いを致さないわけはないと思うのですが…」

 一方、厳しい声をあげるのはアマチュア取材歴の長いライターです。

「論外でしょう。けがをされた部員は2年生とのことですが、これがもし3年生だったら、最後の夏を監督によって負傷された形で終えることになる。いくら名将と呼ばれる方であろうと、そんな理不尽が許されていいわけはありません。指導者に一番求められるのが、グラウンド上の安全義務です。生徒達をいかに危険な目に遭わせることなく、充実した部活動になるよう頑張っている先生方がほとんどであるのに…。『謹慎6か月は重い』との声もあるそうですが、6か月後には普通に、監督へ復帰していることを考えれば、決して重くはありません」

 この名門校の監督は、若手指導者の「先生」として指導法を講義するなど、模範的な指導者として日本高野連も一目置く存在でした。高校野球の指導者にも実社会同様、時代の趨勢に合わせたアップデートが求められることは、間違いありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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