◇米国女子◇ダウ選手権 3日目(28日)◇ミッドランドCC(ミシガン州)◇6287yd(パー70)午後1時31分、吉田…

吉田優利(左)と馬場咲希のペアは3日目最多の7バーディで「67」をマーク

◇米国女子◇ダウ選手権 3日目(28日)◇ミッドランドCC(ミシガン州)◇6287yd(パー70)

午後1時31分、吉田優利馬場咲希のペアは18番(パー3)のグリーン上でプレーを終えてハグを交わしていた。午前10時40分にスタートしてから、2時間51分しか経っていない。1つのボールを交互に打つフォアサム方式で、同組不在のトップスタートだった3日目を超スピードプレーで終え、「えっ、早い!」「ヤバい!」と目を見合わせた。

持ち前のパワーでチームに貢献

短くても、密度の濃い時間だった。出だしは不穏。1番で吉田のティショットがフェアウェイバンカーのあご近くに止まり、馬場のセカンドは出すだけ。さらに吉田の3打目は思った以上にキャリーが出てピンまで飛び、寄せが難しいグリーン奥にこぼれた。

いきなりのダブルボギー。吉田は「1番はもう、全部私のせいだったので。(2番以降で)自分がどれだけ近くに寄せられるか勝負だった」と振り返る。早速2番でアイアンショットをピンそばに絡め、しかも上りの理想的なラインを残すセカンドを披露。後輩にひとつ借りを返せた気持ちでいたら、グリーン上でラインを読む馬場が自分の方を困った様子で見てきて驚いた。馬場は「カップを外すか外さないか、その意見が欲しくて…」。背中を押された通り、カップ内に収めるラインで打ち切ってバウンスバックを決めた。

3番(パー5)でもセカンドをグリーン近くまで運んだ馬場の飛距離と、吉田のショートゲームがかみ合った。手前ピンへのアプローチは上々のアングルだったが、バウンドが不規則になりそうな花道の荒れた芝生が気になった。転がしではなく、キャリーでピン下に落とすチッピングで2連続バーディ。すぐに1番のダボを帳消しにした。

朝イチのトラブルからしっかり立て直した

2人の力を合わせ、難しいフォーマットでこの日最多となる7バーディを量産。初日に続き、フォアサムで「67」をマークした。持ち前のパワーを生かして貢献した馬場は、先輩のプレーに興奮を隠せない。「アプローチの距離感、ショットの距離感…ラウンド中もずっと『ヤバイ!』って言ってました。きのう飛び過ぎって言ってた距離感を1日で修正して、きょうは(2番以降)ずっとピッタリ。すごすぎて、口が開きっぱなしでした」

技術面以外にも目を見張る。朝イチのトラブルにも淡々とプレーを立て直していく姿勢。「それが本当に自然にできる。私のミスでボギーにしたホールで『やってしまった…』となった時も気持ちを前に向かせてくれる。優しいし、面白いし、カッコいいし…もう、すごすぎる!」。目を輝かせる馬場のリスペクトぶりをニコニコ笑って横で聞いていた吉田は、照れくささを隠すようにサラッと言った。「(馬場より)5年長く生きてるんで、それだけですね」。通算7アンダー16位で臨む最終日も、20歳が憧れる背中でチームを引っ張る。(ミシガン州ミッドランド/亀山泰宏)