◇国内男子◇ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品 3日目(28日)◇西那須野CC(栃木)◇6956…
◇国内男子◇ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品 3日目(28日)◇西那須野CC(栃木)◇6956yd(パー71)◇晴れ(観衆1805人)
「ふぎゃあ」と響くその声が、パパを何倍も強くする。片岡尚之はムービングデーをプレー中、もうすぐ5カ月になる長男の姿を味方にした。「ショットは“ごまかし”ばかり。気持ち良いショットはほぼなかった。でもこの位置なので、ごまかしてでもやるしかない」。スコアに内容が伴わなかろうが、一家の大黒柱として、なりふり構ってはいられないのだ。
昨年入籍した夫人とのあいだの第一子はシーズン開幕前の2月9日に生まれた。その時が近いと知るや、オフを過ごしていた千葉を飛び出し、新幹線で妻が待つ宮城へ。出産に立ち会い、「本当に感動しました。妻にはすごく頑張ってもらった」と心を震わせた。今週、ロープサイドで母に抱えられた愛息は、周りから女の子に間違えられることもしばしば。「結構、かわいいっすよね。かわいめっすよね」とデレデレだ。
新しい家族が駆け付けたこの大会を、片岡が忘れられるはずがない。ジャパンゴルフツアー選手会の主催大会として産声を上げた2021年、初代王者に輝いた。ツアー屈指のパター後者の、現在のところのキャリア唯一の勝利に他ならない。
3位から出たこの日は「66」をマークして、首位に3打差の通算15アンダー4位に踏みとどまった。バーディを1つ奪って迎えた前半5番、265yd設定の短いパー4で2つ目。ティイングエリアで向かい風を感じ、3Wと迷った末に1Wで「ちょんっと打って」グリーン奥のエッジに運び、上りのラインを残す技ありのシーンだった。
西那須野CCは「僕にはやりやすい条件が整っている」とも言う。フェアウェイにひろがる洋芝は、故郷の北海道で慣れ親しんできた芝種。「調子が悪いと、自分はフェースローテーションを抑えて、(ヘッドを)刺しにいってしまう癖がある。僕が育った洋芝だとそれが抜けやすく、ごまかしが効くんです」。4年ぶりの逆転Vは、人生の節目を自ら祝える。(栃木県那須塩原市/桂川洋一)