三輪(写真)と佐藤がスタメン起用されたウクライナ戦は、惜しくもフルセットの末に敗れた(C)Volleyball Worl…

三輪(写真)と佐藤がスタメン起用されたウクライナ戦は、惜しくもフルセットの末に敗れた(C)Volleyball World
大型国際大会「FIVBネーションズリーグ」を戦っているバレーボールの男子日本代表。2028年ロサンゼルス五輪にむけた新たなオリンピックサイクルの1年目、そのシーズン最初の公式戦とあって、そこでは新鮮な顔ぶれがコートに立つ様子が見られる。
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それはどのポジションにも言えることだが、なかでもミドルブロッカーはフレッシュだ。というのもここ数年は小野寺太志(サントリーサンバーズ大阪)、山内晶大(大阪ブルテオン)、髙橋健太郎(ジェイテクトSTINGS愛知)という日本バレー界を代表する3人が、攻守双方においてトップレベルのパフォーマンスを披露してきたのである。だが、その3人の姿は今回のネーションズリーグにはない。コンディション調整や休養など様々な事由があるが、それはほかのミドルブロッカーたちにとってこのうえないアピールチャンスとなっている。
このネーションズリーグの予選ラウンド第1週ではさっそく、2024-25 大同生命SVリーグで「トップブロッカー」に輝いた西本圭吾(広島サンダーズ)がA代表デビューを飾った。189センチの身長はミドルブロッカーとして小柄な部類に入るものの、テクニックと分析力をもってして国内リーグで個人タイトルを獲得。世界を相手に渡り合う、その大きな挑戦に身を投じている。
同じく予選ラウンド第1週からメンバー入りを果たしたのが村山豪(東京グレートベアーズ)で、大会初戦の中国戦(現地6月11日)ではさっそくチーム最多3本のブロックポイントでストレート勝ちに貢献。名門校で過ごした学生時代を通して備わったバレーボールIQを攻守で存分に発揮すると同時に、フランス戦(同6月26日)ではここぞの場面でノータッチエースを決めてチームに反撃ムードをもたらした。
フランスからの劇的勝利に沸いた予選ラウンド第2週で、存在感が増したのは佐藤駿一郎(ウルフドッグス名古屋)。第2週の登録メンバー中、最高となる身長205センチの体格はやはり武器。それは前衛でネットを前にしたときだけでなく、高い打点からドライブとフローターを織り交ぜる効果的なサーブでも活かされている。
また、その佐藤が「対戦していてブロッカーからすれば“いやらしい”、いやなアタックを打ってくる」と評価する三輪大将(広島TH)も予選ラウンド第2週からメンバー入り。2023年の初登録からこれまではB代表で活動してきたが、今回初めてA代表として国際大会に出場を果たし、そこでは佐藤の言葉どおり巧みに打ち分けるクイックで攻撃のアクセントになっている。現地6月27日のウクライナ戦では今大会で初めて、佐藤と三輪がそろってスタメンで起用された。
だが、その試合はウクライナの粘りと勢いの前に日本は苦しむ展開が続く。フルセットに持ち込んだものの、2-3(26-24、17-25、18-25、25-22、13-15)で敗れる結果に終わった。
そのなかでも途中出場ながらチーム最多3本のブロックポイントをマークしたのがエバデダン ラリー(大阪B)。あとがなくなった第4セットから投入されると、セットの最後を連続ブロックシャットで締めくくっている。もっともラリーはA代表での活動歴において、一日の長がある。2022年の初登録後、A代表に帯同しながら着々とプレー機会を増やし、同時に2024-25 大同生命SVリーグや今年5月のアジアチャンピオンズリーグでベストミドルブロッカーに輝くなどステップアップを遂げてきた。そこでは「技術や精神面はもちろん、日頃の生活からあらゆることで上級者を目指す」心構えを持ち、例えば食生活も体脂肪の数値などを踏まえながら食事を摂り、また自宅で過ごす隙間時間にもストレッチやトレーニングに励むなど意識改革を講じていた。昨年夏のパリ五輪は出場メンバーから落選も、チームには帯同。それだけに3年後にむけて、思いを強くしている。
かつて海外勢に比べてサイズに劣る日本のブロックはウィークポイントとされてきたが、それも今は昔の話。個のスキルや体格はもちろんだが、チームとして敷くディフェンスシステムの一員、そのミドルブロッカーとして世界と十分に戦えることを証明してみせたのが小野寺であり、山内であり、髙橋だった。3人が再び日本代表の力になる可能性もあるわけだが、その彼らに続き、さらには上回るべく、ミドルブロッカー陣のフレッシュな面々は戦いを通して、己を磨いている。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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