7月5日に開幕する第107回全国高校野球選手権京都大会を前に、球児たちは最後の調整に励んでいる。限られた練習時間、共用…
7月5日に開幕する第107回全国高校野球選手権京都大会を前に、球児たちは最後の調整に励んでいる。限られた練習時間、共用のグラウンド、少ない部員数――。それぞれが厳しい条件の中で工夫を重ね、甲子園への夢を追い続けている。(木子慎太郎)
部員わずか10人の京都八幡は、たった一人の3年生・平井奏駄(そうた)主将が後輩9人を率いる。
入学時には5人いた同級生も、昨夏には平井さんただ一人に。昨年10月、「新チームをうまくまとめられない」と悩み、一時は退部も考えたという。そんな中、秋田嵐監督の「最後まで一緒にやりきろう」という言葉で思いとどまった。
「まずは行動で示そうと決めました」。それ以来、練習では「全力発声」を徹底し、声でチームを引っ張ってきた。試合ではエースとしてマウンドに立つ。「大会までは秘密です」と語る新球種に磨きをかけ、勝利をめざす。
4番を担うのは2年生の中井翼さん。中学時代は50人規模のクラブチームに所属していた。入学当初、チームはわずか11人。「こんなんで勝てるんかなと不安もありました」と当時を振り返る。それでも今では「チャンスで打つのが自分の仕事」とチームを背負って打席に立つ。
目標は「公式戦1勝」。10人の仲間が、今日もグラウンドに声を響かせる。(木子慎太郎)
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1925年に創立された京都商業を前身とし、春夏合わせて15回の甲子園出場を誇る伝統校・京都先端科学大付。今年、学校として創立100周年を迎えた。野球部の創設は学校創立の5年後で、野球部の100周年も近づいている。
チームを率いる堂弘監督は、兄で前監督の堂統(はじめ)部長とともに、20年以上にわたりチームを見守ってきた。堂監督は一度会社員として働き、2002年にコーチとして指導者の道に。「グラウンドに立つ喜びが忘れられなかった」と当時を振り返る。
専用グラウンドはなく、他クラブとグラウンドを時間で分け合う。「練習量に限界があるぶん、質にこだわる」。選手に自主性と目的意識を求めている。
そんなチームを象徴するのがスローガン「覇繫挑(はくちょう)」。副主将の中田壮治郎さん(3年)が考案し、「先輩方がつないできた悔しさごと、自分たちが受け継ぎ、挑みたい」という思いが込められている。
新チームは秋・春ともに公式戦で勝利がない。主将の山口恭吾さん(3年)は「新チームで1勝をあげて、みんなと喜びを分かち合いたい」と力を込める。(木子慎太郎)
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今年の選抜大会の21世紀枠の近畿地区候補校に選ばれながら、惜しくも出場はならなかった山城。「あと一歩」の悔しさを胸に、選手たちはこの夏に懸けている。
平日の完全下校は午後7時。グラウンドはサッカー部と共用で、練習時間は限られる。岸本馨一郎監督は「限られた条件の中で工夫するしかない」と話す。朝や昼休みに個別メニューを導入し、外部のリハビリ施設と連携。投手を中心に体力測定や動作解析を活用した科学的なトレーニングを進めてきた。
井上瑞貴(3年)さんは入学時から球速が20キロ近く伸び、現在は142キロを計測。左腕の中村永喜さん(3年)も、110キロ台から134キロまで伸ばし、力をつけた。投手5人が公式戦登板経験を持つという層の厚さがチームの強みだ。
今春は城南菱創に逆転負けを喫し、またしても「あと一歩」を実感した。主将の池垣雄大さん(3年)は「選抜大会に選ばれなかった悔しさを、夏で晴らしたい。支えてくれる地域の方々や卒業生にいい報告ができるように」と意気込んだ。
64年ぶりの甲子園出場へ。伝統の白いユニホームに、その思いを乗せる。(木子慎太郎)