(27日、第107回全国高校野球選手権北北海道大会空知地区1回戦 岩見沢農14―0岩見沢東 5回コールド) スコアブック…
(27日、第107回全国高校野球選手権北北海道大会空知地区1回戦 岩見沢農14―0岩見沢東 5回コールド)
スコアブックを静かに閉じて、岩見沢東の記録員熊谷文月(ふづき)さん(3年)は、冷静な表情でベンチ前に並んだ。「思ったよりあっけなく終わっちゃったな」。相手校歌を聞きながら思った。
4人の兄全員が岩見沢東の野球部員だった。小さな頃から兄たちの応援で球場へ足を運ぶうち、野球に打ち込む姿にあこがれた。北広島市在住だが、岩見沢東に進学し、野球部でマネジャーをするのは自然な流れだった。毎朝6時半に家を出る。家族の車から列車を乗り継いでの通学は大変だった。家族の支えで乗り越えた。
3年生4人のマネジャーの中で「スコアを書く能力がピカイチ」(板橋宏季監督)と評され、この日、担当することに。だが、試合は相手打線に長短打が出る一方、こちらは本塁が遠い一方的な展開。熊谷さんは顔色を変えることなく淡々と記録を書き続けた。「このまま負けちゃうのかなとずっと不安だったけど、最後に取り返してくれると信じていた」
試合後、滝川市営球場の外で仲間のマネジャーたちと肩を寄せ合った熊谷さん。「野球部の仲間たちもみんないい人で、とにかく楽しかった2年半。岩見沢東に来てよかった。今度兄たちに会ったら、『お兄ちゃんたちのおかげで野球を始められて良かった』と伝えたい」。涙が止まらなかった。(中沢滋人)