山崎は今大会で存在感を増しているひとりだ(C)Volleyball World バレーボールの男子日本代表は現地6月26…

山崎は今大会で存在感を増しているひとりだ(C)Volleyball World
バレーボールの男子日本代表は現地6月26日、ブルガリアで行われている「FIVBネーションズリーグ」予選ラウンド第2週のフランス戦に臨み、3-2(25-22、19-25、22-25、25-20、15-11)で勝利した。
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相手のフランスは五輪において2021年の東京2020大会、昨年夏のパリ大会と金メダルを獲得してきたが、今回はエースのイアルバン・ヌガペトを筆頭に一部の主力メンバーは不在だった。とはいえ、この日チーム最多得点をマークしたアウトサイドヒッターのトレボール・クレブノや、オポジットのテオ・フォルはパリ五輪金メダリスト。さらには控えに回っていた正セッターのアントワーヌ・ブリザールも劣勢になるや“緊急登板”して、2セットダウンから懸命に食らいついきた日本を倒しにかかった。そのうえで日本がフルセットの戦いを制したことには価値がある。
日本とて、東京2020五輪以降に主力を担ってきたメンバーはまだ合流していない。それはこのネーションズリーグが日本代表というチーム全体の底上げを図る場でもあり、また現在出場している選手たちにとってはまだ勝負は先とはいえ2028年ロサンゼルス五輪のメンバー選考にむけたアピールの機会であることを意味している。
とりわけアウトサイドヒッター陣は、それが顕著に表れているポジションだ。予選ラウンド2週時点で、キャプテンの石川祐希(ペルージャ/イタリア)と対角に入る髙橋藍(サントリーサンバーズ大阪)という日本の2大エースは不在なのである。
その分、今大会でここまでキャプテンを務めているのは富田将馬(大阪ブルテオン)。パリ五輪では本登録から落選も、バックアップ選手としてチームに帯同した。その経験を「悔しい思いをした」とはっきりと口にし、並々ならぬ思いで新しいオリンピックサイクルに臨んでいる。得意のサーブレシーブから強烈なバックアタックを放つ姿には気迫がみなぎる。
その2028年ロサンゼルス五輪で「一番手のエースになる」と口にしているのが甲斐優斗(専修大学)だ。前回のフィリップ・ブラン監督時代にその才能を見出され、パリ五輪はチーム最年少(当時20歳)で出場した。今大会から本格的にスタメンで起用される機会も増え、そこでは被ブロックやサーブレシーブで崩される場面があるとはいえ、まだまだエースへの道のりを踏み出したばかり。例えばイタリア代表のエース、アレッサンドロ・ミキエレットも当時19歳で出場した東京2020五輪の日本戦ではサーブレシーブに苦しんでいた印象だが、その後はメキメキと成長を遂げて今や絶対的エースとして君臨する。なお甲斐は身長203センチでミキエレットは205センチ。世界に匹敵するポテンシャルを備える甲斐が、自身の目標を叶えることは決して不可能ではあるまい。
その面々に経験値で上回るのが大塚達宣(ミラノ/イタリア)。すでに五輪は東京2020、パリと2大会連続で経験している。さらなる成長を求めて、2024-25クラブシーズンはセリエAに身を投じると、アタックとサーブは確実にパワーアップした。その攻撃力はもちろん、途中出場からでも力を存分に発揮できる点は大塚の強みである。フランス戦での活躍はまさに真骨頂といえるもので、開始時からコートに立った第4セットはチーム最多7得点をマークして逆転勝利の立役者となった。2028年ロサンゼルス五輪は当然、目標に定めている。
その富田、甲斐、大塚らすでに日本代表のAチームを経験してきた面々に加えて、このネーションズリーグで存在感を増しているのが山崎彰都(ウルフドッグス名古屋)である。これまではB代表で活動してきたが、今大会では出場登録メンバーに選出された。リリーフサーバーでの起用に始まり、そこでは「流れを変えられるように攻めるサーブを打てたら」とエンドラインに立てば勝負強さを発揮。ゲームチェンジャーの役目をまっとうする。おもしろいのは所属先のWD名古屋で2024-25シーズンはミドルブロッカーとしてもプレーしていたとあって、今大会のスロベニア戦(現地6月25日)ではサーブレシーブを上げてからAクイックの位置に助走に入ったこと。そうしたプレーの幅の広さは山崎の武器である。
それぞれに持ち味や強みがあり、さらなる伸びしろを備えるアウトサイドヒッター陣。石川と髙橋は世界を見渡してもトップ・オブ・ザ・トップの境地に立っていると言えるが、その2人を巻き込んだチーム内競争が激しくなればなるほど、それは日本代表の強化につながることは間違いない。
[文:坂口功将]
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