契約を残しながらチームを追われたペレス。彼もまた角田と同様にセカンドドライバーとして奔走していた。(C)Getty Im…

契約を残しながらチームを追われたペレス。彼もまた角田と同様にセカンドドライバーとして奔走していた。(C)Getty Images
低迷が続く日本人レーサーへの風当たりは強まる一方だ。現地時間6月24日、英公共放送『BBC』は、F1の名門レッドブルに所属する角田裕毅が、今季限りで退団する見通しであると報じた。
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今季の開幕を姉妹チームのレーシングブルズで迎えた角田は、“凱旋”となる日本GPを目前に控えた3月27日に、レッドブルに緊急昇格。不振のリアム・ローソン(現レーシングブルズ)とのシート交代でセカンドドライバーに抜擢された。
しかし、昇格後8レースで獲得したのは4ポイントのみと成績は低迷。操作困難とされるマシン『RB21』への適応期間があったとはいえ、直近3レースで0ポイントと角田の立場は危ぶまれる一方となっている。
そうした中で「今季限りの退団」というシビアな見解を記した『BBC』は「当然ながら、ユウキ・ツノダは、パフォーマンスを大幅に向上させない限り、レッドブルから外されることはほぼ確実だ」と断じてもいる。
そうした中で角田と同じ、「レッドブルのセカンドドライバー」を務めた経歴を持つベテランからは、チームの内情が赤裸々に明かされている。発言者となったのは、メキシコのポッドキャスト番組『Desde el Paddock』にゲスト出演したセルジオ・ぺレスだ。
2024年シーズン終了後に2026年まで続く予定だった契約を解除されたペレス。その方針に対しては「謝罪は求めない。結局はこれがこのスポーツの現実だから」と吐露。その上で、「彼らは自分たちで作り出した過剰な圧力のため、決断が下された」と上層部の判断を皮肉っている。
「僕はモナコで延長交渉の契約書にサインしたんだ。けど、その次のレースから、誰もが僕の将来について話していたんだ。僕はもう契約にサインしたのに、だよ。チームが僕を守るのは簡単だったはずだ。『次の2年間は契約済みだ』と主張するだけで済んだはずなんだ。だけど、彼らはそうしなかった。
そこからは毎レース、みんながレッドブルと僕のことを話してばかりだった。結局、ガレージの僕側に多くのプレッシャーがかかっていた。そのプレッシャーがエンジニアたちや関係する全員に大きな負担をかけていた。最終的にそれが僕たちに多大な代償を強いる結果になったと思う」
実際、チームはコンストラクターズランキング3位に終わった昨季の不振の責任をセカンドドライバーであったペレスに押し付ける形となっていた。アドバイザーを務めるヘルムート・マルコ博士も「チームメンバーがボーナスを受け取れなかったからだ」と公言していた。
マシンの性能だけではなく、そうした“外圧”もドライバーたちを苦しめているのかもしれない。ペレスは、こうも続けている。
「彼ら(レッドブル)は内心で非常に後悔していることを、僕は確かな情報源から知っている。人々は僕が喜んでいると思うかもしれないけど、実際はそうじゃないんだ……。僕たちは素晴らしいチームだった。高速化が進むこの時代にあって特別な何かがあったのに、少しずつ崩れていったんだ」
名手の恨み節は、“更迭論”がしきりに叫ばれる角田の耳にどう響くだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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