チームの希望である伊藤琉偉。交流戦で長打力を発揮できた訳とは(C)産経新聞社 ヤクルトは65試合を終えた時点で19勝43…

チームの希望である伊藤琉偉。交流戦で長打力を発揮できた訳とは(C)産経新聞社
ヤクルトは65試合を終えた時点で19勝43敗3分けの借金「24」と、リーグ最下位に低迷している。交流戦も単独最下位で終えたが、その中でパ・リーグの投手相手に長打力を発揮したのが、2年目の内野手で22歳の伊藤琉偉だ。
6月5日の西武戦(ベルーナD)では菅井信也の直球を振り抜き、左翼席へ運ぶプロ1号を放つと、7日、8日のソフトバンク戦(神宮)で2試合連続のアーチを描いた。
打率こそ現在は.221だが、交流戦では得点圏打率.333をマークし、3本塁打と11打点はともにチームトップの成績だった。
大松尚逸チーフ打撃コーチは「去年から比べればスイングがしっかりできるようになっている。バットの軌道が良くなっているのが一番」と、伊藤の成長を感じ取っている。
伊藤自身も「秋季キャンプからいまのスイング軌道というのは取り組んできて、だいぶ自分の中で変わってよくなっている」と実感。手応えを得ているスイング軌道について「真っすぐに負けないように。自分はあまり(球を)引っ張れなかった。1年目に引っ張れなくて、どうしたらいい打球が打てるかというところで、いまのスイングになっていった」と、説明した。
「1軍クラスの超一流の真っすぐをどうやって打つか、肌で感じている途中」と話す大松コーチ。チャンスをもらい、実戦で経験を積んでいる最中で、伸びしろは無限大だ。
交流戦も含め初めて対戦する投手も多い中で伊藤は「初めてやるからといって受け身にならないように。どの投手でも同じようにスイングは変えずに、配球とかは別に考えますけど、スイングはいつも通りでやっています」と力強い。
チームは村上宗隆らがケガで離脱する中、交流戦では下位の打順を任されながらパンチ力を見せつけた。それでも「結果が長打になっているだけで、あまり長打は狙っていない。でも、強いスイングをするというのはずっとやってきている。それが試合でできて、結果的に長打や本塁打になっている」と、自己分析する。
2023年のドラフト会議で独立リーグのBC新潟(現オイシックス)から5位入団を果たし、新入団発表のときには同期入団の選手の身体と比べ、自身の身体の細さを実感していた。今季は2年目を迎え、78キロの体重は春季キャンプの時点で5キロほど増量し、身体も大きくなった。
群馬・東農大二高から東農大に進学後は授業の取得単位が足りず中退。一時は野球から離れたこともある伊藤だが、地元の居酒屋で週2~3度ほどアルバイトをし、その後、兄から野球に誘われたことをきっかけに再び野球への情熱を呼び覚ますと、独立リーグからNPBへの道を切り開いた苦労人だ。
同じ遊撃のポジションには、右後十字靱帯(じんたい)損傷で2軍調整中の長岡秀樹がいる。入団時には1つ歳上の“ライバル”について「いますぐには勝てないと思うんですけど、たくさん練習して、いつかは超えられるように頑張りたい」と口にしていたが、現在では「レギュラーを獲れるように、どんどんアピールしていくだけ。しっかり準備をしていきたい」と決意し、言葉の端々からも自信のようなものを感じる。
27日からはリーグ戦が再開するが、伊藤は巻き返しに向けたキーマンのひとりでもある。低空飛行を続けている燕だが、チームの“希望”を託された男が明るい光を照らしてくれるはずだ。
[文:別府勉]
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