FIFAクラブ・ワールドカップに、浦和レッズが出場している。残念ながら、決勝トーナメント進出はならなかったが、世界の強…

 FIFAクラブ・ワールドカップに、浦和レッズが出場している。残念ながら、決勝トーナメント進出はならなかったが、世界の強豪相手に大健闘した。だが、その「大健闘」は、何を意味するのか。サッカージャーナリスト後藤健生が検証する。

■欧州と南米、その他との「格差」

 そうした、「世界選抜」的なクラブが互いにしのぎを削っているのがヨーロッパのサッカーである。そうした切磋琢磨によって、ヨーロッパの競技レベルはさらに上がっている。

 今回のクラブ・ワールドカップを見ても、ヨーロッパおよび南米大陸とその他の大陸との競技力の差は歴然としている。

 6月23日までに行われた試合の中で、ヨーロッパのクラブが南米大陸以外のクラブと対戦した試合は16試合あったが、ヨーロッパ側が敗れたのはインテル・マイアミ(アメリカ)がFCポルト(ポルトガル)を2対1で破った1試合だけだった。その他、モンテレイ(メキシコ)がインテルとリーベルプレート(アルゼンチン)相手に2試合引き分けているほか、アル・ヒラル(サウジアラビア)はレアル・マドリードと引き分けている。

 従って、浦和レッズがもしインテルに勝利していたとしたら、まさに世界を驚かせるニュースになっていたことだろう。

 ちなみに、南米大陸のチームがヨーロッパ以外のクラブと戦った試合は6試合あったが、モンテレイがリーベルと引き分けた以外の5試合は、すべて南米側勝利に終わっている。

■CLで「優勝を狙う」チームの主力

 南米大陸は、圧倒的な選手の輸出国である。たとえば、ブラジルやアルゼンチンの代表クラスの選手は、ほとんどがヨーロッパでプレーしている。

 その点では日本と共通なのだが、やはり国内リーグに残っている選手でもブラジルやアルゼンチンのレベルは高い。そもそも、「ヨーロッパのクラブでプレーしている」のは同じだとしても、アルゼンチンやブラジルのトップ級の選手はCLで優勝を狙うようなチームの主力なのだから。最近は5大リーグのトップクラブでプレーする選手が増えてきたとはいえ、日本人選手はブラジルやアルゼンチンの選手たちにはまだまだ及ばない。

 そして、ヨーロッパのクラブはシーズンが終わって疲労を溜め込んでいる状態でコンディションが良くないし、シーズンオフや来シーズンのことも考えており、モチベーションにもバラつきがあるのに対して、南米勢はヨーロッパのクラブに対する対抗意識が高く、クラブ・ワールドカップに向けてのモチベーションも高いものがあるはずだ(かつてのトヨタカップの時代からそうだった)。

■本当の意味での「世界一決定戦」

 いずれにしても、クラブ・レベルでは代表クラス以上にヨーロッパおよび南米大陸とその他の大陸の格差がまだまだ大きい、というより“ますます”大きくなっているようだ。

 本当の意味の「世界一決定戦」を行うとしたら、かつてのトヨタカップのように、直近のCLチャンピオンとコパ・リベルタドーレス優勝チームが対戦するようにするのがいいのではないだろうか?

 今回のクラブ・ワールドカップでも、ヨーロッパ対南米のカードでは白熱した試合が見られるようだ。また、同時にヨーロッパと南米以外の大陸同士の試合も実力は伯仲している(ニュージーランドのオークランドFCは別として)。

 すでに敗退が決まった浦和レッズだが、25日(日本時間26日)はメキシコのモンテレイとの戦いとなる。モンテレイは、先ほども述べたようにインテル、リーベルと引き分けているチーム。そのモンテレイに勝利できれば、浦和レッズに対しての国際的評価は上がるはず。

 浦和にとっては、非常に重要な試合になる。

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