バスケットボール男子の国内3部に相当する、B3リーグ・さいたまブロンコスは25日、アルバイト情報サイト「バイトル」など…

 バスケットボール男子の国内3部に相当する、B3リーグ・さいたまブロンコスは25日、アルバイト情報サイト「バイトル」などを展開する人材サービス大手「ディップ」にクラブ運営会社の株式を譲渡し、子会社になると発表した。

 さいたまは昨年9月、東京に本社を置く不動産会社が新オーナーに就いたばかり。1年も経たないうちに新たな親会社を迎え、経営体制の変更に踏み切った。

 さいたま市浦和区で会見に臨んだ、さいたまの小竹克幸社長は、親会社が変わった背景として、2026年秋に始まるBリーグの新たな最上位カテゴリー「Bリーグ・プレミア(Bプレミア)」の存在を挙げた。

 「昨年9月当時は、26年に(2部相当の)Bリーグ・ワンに参入するためのオーナーチェンジだった。この埼玉という大きな市場でより飛躍できる環境を作り、30年をめどにBプレミア参入を目指そうとするなかで、今回はディップと共に歩む選択をさせていただいた」と経緯を説明した。

 今季のB3で17クラブ中12位と下位に沈んださいたまは、来季に向けてB1クラブから次々と選手を獲得。新オーナーからバックアップを受ける形で、大型補強に着手している。

 会見に同席したディップの冨田英揮・社長兼CEO(最高経営責任者)は「我々が参入した以上は、良い選手を取る資金を投入し、お客様、社員も含めた動員力でファンをつくっていく。Bリーグで一番強い、さらに、一番人気のあるチームにしていく決意だ。この言葉が、うそではなかったと証明していきたい」と力を込めた。

 冨田CEOがクラブ保有を本格的に考え始めたきっかけは、親交のある他クラブのオーナーだったという。

 「(B3の)徳島ガンバロウズのオーナーから『バスケットは面白いよ』と聞いていて、本当にうらやましいなと。僕の友人でチームを持っている人が他にもいる。その中で、本当に負けたくないという気持ちを持った」

 候補となるクラブが複数あったなかで、さいたまを選んだのは、経営者としての経験も影響した。

 「我々ディップもこの業界(人材サービス業)に参入し、数年前までは巨大なリクルートさんがいて、フロムエーさんがいて、マイナビさんがいて……。我々はもう、彼らの何十分の一の売り上げで、当然、最下位からのスタートだった。そのライバルがいる中で、今年初めて、業界ナンバーワンになれた。やはり、強いクラブのオーナーになるよりも、育てていくというか、下克上のストーリーにひかれる」

 Bプレミア入りを果たす上では、参入基準を満たすアリーナの建設が喫緊の課題となる。

 本拠として使用を想定する与野中央公園(さいたま市中央区)の新アリーナ建設を巡っては、今月になって入札が中止に追い込まれるなど、現時点で建設の見通しが立っていない。

 冨田CEOは「例えば、ネーミングライツで資金を出したり、観客を埋めるためにコミットしたり。市にとっても価値あるアリーナだと信じているので、市民の納得を得るためにも我々として最大限のことをしていきたい」と前向きに話した。(松本龍三郎)