日本陸連は25日、理事会を開き、新しい会長に副会長で2度五輪でメダルを獲得した有森裕子氏(58)を選んだ。今年3月に創…

 日本陸連は25日、理事会を開き、新しい会長に副会長で2度五輪でメダルを獲得した有森裕子氏(58)を選んだ。今年3月に創設100周年を迎えた同連盟で女性の会長は初。任期は2年。

 有森氏は岡山県出身。女子マラソンで1992年のバルセロナ五輪で銀、96年アトランタ五輪では銅と2大会連続でメダルを獲得した。これまでに日本陸連理事や、2021年から副会長を務めてきた。23年には世界陸連の理事に就いた。

 有森氏は就任にあたり「陸上競技、ひいてはスポーツ全体の社会的価値を高めていきたい」と抱負を話した。

■「国立競技場が愛される場に」

 ■有森新会長のあいさつと記者会見での主なやりとり

 本日をもって日本陸上競技連盟の会長に就任いたしました有森裕子です。いきなり変なコメントですが、マラソンを5本ぐらい走った方が楽という感じです。

 今回、会長には立候補いたしました。人生で初めてです。これまでスポーツではない組織に関わることもあり、逆にスポーツの意味や平和への力を持つことなどを教えられました。陸上を楽しんでいる人たちに、もっと陸上を愛し、楽しんでもらえるような魅力を生み出したい。ひいては、スポーツ全体の社会における価値をあげて、やっぱりスポーツって必要だよね、人間が元気に生きていくのにとっても大事だよね、陸上が、スポーツがやっぱり欠かせない、そういう風に思ってもらえるようにしていきたいと思います。

 34年前、私が国際的にデビューをしたのが東京世界陸上です。その時は、いちマラソンランナーとして走ることで必死だったんですが、今度は世界陸上を目指してくるアスリートたちを東京に迎え入れるように自分自身が準備をしているところです。私にとっては素晴らしい機会をいただけたなと思っています。

 ――会長として現状、取り組みたいことは?

 スポーツに対する基本的な価値が日本で高いかと言われると、もちろん盛り上がっている時は高いと思いますが、盛り上がらなければ、スターがいなければ、勝たなければ、その価値がどうなんだろうと思わざるを得ないような位置にいるのではないかと危惧をしているところもあります。そういった意味では、陸上がマザー・オブ・スポーツと言われるように、人間が生まれて最初に携われるスポーツであるとしたら、この陸上がまずその価値を伝えるスポーツかなと。それは、子供からお年寄りまで、形は変われど、目標は変われど、場は変われど、伝えていけたり、見せていけたり、やっていけるものではないかなと思います。それぞれの、その都度都度に愛され、楽しまれ、そしてそれに携わった人間が個々に元気になっていくというものであって欲しい。もうそれしか願いはないです。

 ――世界陸上が東京で開かれる。このイベントをどう生かすか。

 すごくきょとんとされるかもしれませんが、まず、国立競技場が愛される場になってほしいと思います。(東京)オリンピックは、色々ありましたけれども、ここで本当に最高の陸上競技を見た人はいないと思うんですね。特に子供たちが。私は、陸上競技を最高の舞台として、この国立競技場が全ての人に愛され楽しんでいただける場に、この世界陸上を機になって欲しいと思います。