FIFAクラブ・ワールドカップに、浦和レッズが出場している。残念ながら、決勝トーナメント進出はならなかったが、世界の強…

 FIFAクラブ・ワールドカップに、浦和レッズが出場している。残念ながら、決勝トーナメント進出はならなかったが、世界の強豪相手に大健闘した。だが、その「大健闘」は、何を意味するのか。サッカージャーナリスト後藤健生が検証する。

■「守り続けた」虎の子の1点

 FIFAクラブ・ワールドカップに出場している浦和レッズは、6月21日(日本時間22日)にインテルナツィオナーレ・ミラノ(インテル=イタリア)に挑戦。

 前半11分に金子拓郎が右サイドをドリブルで突破し、DFを引きつけてからマイナスのクロスを入れ、ファーサイドから走り込んだ渡邊凌磨が決めて見事に先制した。

 その後は、実力的に上回るインテルがボールを握って攻撃を続ける一方的な展開となったが、浦和は素晴らしい守備でこの1点を守り続けた。

 前線の選手たちは行くべきときと自重するときを見極めながら、相手ボールを追い続けた。

 インテルは右のルイス・エンリケ、左のフェデリコ・ディマルコを使って強力なサイド攻撃を仕掛けてきたが、浦和はサイドバックとサイドハーフが連係して守り、最終ラインもうまくスライドして対処。縦に入れてくるボールに対してもCBが体を寄せて対応。インテルがシュートを打つ場面では、体を張って守り続けた。

 こうして、前半はインテルのボール保持率は70%に達し、9本のシュートを撃たれたものの、枠内シュートは許さずに(FIFAのスタッツ)で凌ぐことに成功した。

 後半に入っても浦和の組織的な守備が功を奏して、1点のリードを保ち続けることに成功。

 70分には松尾佑介がドリブルで持ち込み、パスを受けた渡邊がシュートを放つ場面も作った(シュートはクロスバーを越える)。

 こうして、残り時間も15分を切り、「もしかしたら」と思えるような展開になったのだが、インテルは78分に左CKからのボールをラウタロ・マルティネスがゴールを背にして体を倒しながら右足に当ててボールを枠内に飛ばすという超絶のシュート技術を見せて同点に追いつく。そして、アディショナルタイムに入った90+2分には左のヘンリク・ムヒタリアンのクロスからペタル・スシッチがシュート。跳ね返ったボールをバレンティン・カルボーニが冷静に蹴り込んで、勝ち越し点を決める。

 こうして、浦和は最後の最後に勝点を失って2連敗となり、この時点でグループリーグ敗退が決定した。

■ゴールを「脅かした」カウンター

 このインテル戦での浦和の戦いは、確かに「大健闘」なのだろう。ルーズボールの奪い合いでは、ほとんどの場面でインテルの選手が勝利。90分を通じたポゼッションでもインテルは66%を記録(浦和は23%)。その他、パス回数などあらゆる数字でインテルが浦和を大きく上回った。

 もし、前半11分の渡邊のゴールがなかったら「守備一辺倒」の恥ずべき試合になってしまったかもしれないが、選手個々の力の差があって一方的に攻撃を受ける状況が続いたものの、組織でも個々の選手の激しい当たりでも、浦和は守備のタフさを示すことができた。

 しかも、先制ゴールを決め、さらに後半にもインテルが前がかりになった隙をついて、何度かカウンターを発動してインテルのゴールを脅かす場面も作り、「守備一辺倒」ではないところも示せた。

 スタジアム中に轟いた浦和サポーターのチャントとともに、この試合を見た世界中の人たちにポジティブな印象を残したことは確かだろう。

■あまりに「大きかった」実力差

 だが、同時に実力差があまりに大きかったのも事実だ。

 インテルは、2024/25シーズンのUEFAチャンピオンズリーグのファイナリストである。Jリーグでもけっして最強とは言い切れない浦和レッズとの差が大きくても、驚くべきことではなかった。

 もっとも、インテルのチーム状態は予想通り、それほど良いものではなかった。

 当然である。

 ヨーロッパのクラブは、長い1年間のシーズンを終えたばかりだ。しかも、インテルはヨーロッパのシーズンの最後を飾るCL決勝まで戦っていたのである。

 そして、インテルはそのファイナルでパリ・サンジェルマン相手に0対5という大敗を喫していた。

 フィジカル的な疲れに、大敗によるメンタル的なショックも重なった状態。そして、シーズン終了とともにシモーネ・インザーギ監督が退任し、しかも退任直後に、アル・ヒラル(サウジアラビア)監督就任が発表されるという後味の悪い退任だった。そして、クラブOBのクリスティアン・キブ監督が就任したばかりだった。

いま一番読まれている記事を読む