主将を務める石川は「悪い状況でアイコンタクトがなくなってきているところがある」と課題を述べた(C)Volleyball …

主将を務める石川は「悪い状況でアイコンタクトがなくなってきているところがある」と課題を述べた(C)Volleyball World

 バレーボールの女子日本代表は現地6月22日、香港で行われている「FIVBネーションズリーグ」予選ラウンド第2週のチェコ戦に臨み、3-0(25-22、25-17、25-20)で勝利した。これで日本は第2週の全日程を終了し、6勝2敗と勝ち越して自国開催の第3週に臨む。

【動画】窮地からのフルセット大逆転勝利!無傷の5連勝を飾ったタイ戦のハイライトを見る

 女子日本代表としては史上初となる外国籍監督を招聘して、2028年ロサンゼルス五輪へ踏み出した第一歩。その初年度となる2025年は、毎年開催されている「ネーションズリーグ」と今回から2年に一度の隔年開催となった「世界選手権」という2つの国際大会が大きな実戦経験の場となる。5月22日のキックオフ会見でフェルハト・アクバシュ新監督は今年のスローガンに「STRONG ROOTS(強い根)」なる言葉を掲げ、「この2大会では五輪に向けて核となるものを構築したい」と土台づくりに着手することを明言。そのうえで「もちろん、ネーションズリーグと世界選手権ではいい成績を残したい」と力強く意気込みを語っていた。

「核」という部分で言えばまず、直近2大会の五輪を経験しているアウトサイドヒッターの石川真佑(ノヴァーラ/イタリア)をキャプテンに抜擢した。24歳という年齢、代表でのキャリア、これまでの経験値を踏まえれば適任といえ、本人も「自分がいろんな経験をさせてもらっている分、チームが勝つ、そして強くなるために私が行動しなければいけないことも増えてきていると感じました。『やりたい』よりも『やらなきゃいけない』という気持ちのほうが大きかった」と前向きな姿勢で向き合っている。

 石川にとっては学生時代やアンダーエイジカテゴリー日本代表をともに過ごしてきた面々もシニアで増えてきたこともあり「コミュニケーションなどやりやすい部分はあります」と言いつつ、「試合ではベンチからでも周りの選手が声をかけてくれたので、自分が特別やることはなかったと言いますか…できなかった」と悔しさを口にも。「これからは自分が言葉で伝えることも重要になってくるので、自分が成長していけなければいけない」と、チームとともにさらなる進化を自身に課している。

 その石川の言葉にも出たように、コミュニケーションをとって共通認識を持つことは、チームづくりにおいてはもちろん、試合を戦う上でも不可欠な要素だ。その重要性をチームは戦いを通して実感している。例えば予選ラウンド第2週のタイ戦(現地6月18日)で日本は2セットダウンのピンチに。「序盤でバックアタックが抜けてしまっていた」というセッターの関菜々巳(ブスト・アルシーツィオ/イタリア)に対して、周囲から「バックアタックいけるよ」といった意見が注がれ、関もトスワークを修正して逆転勝利につなげている。結果として開幕からの連勝を5まで伸ばすことに成功した。

 その一方で連勝がストップした翌イタリア戦(同20日)、連敗となった中国戦(同21日)で競り合いに持ち込む展開や時間帯を作れたとはいえ、「スタートが悪く、そこから点数を詰めようとしても厳しかったので、出だしを修正していきたい」と石川。加えて「悪い状況でアイコンタクトがなくなってきているところがあるので、しっかりと目を合わせていきたい」とアクバシュ監督体制下の新キャプテンは予選ラウンド2週を終えてチームに改善を促した。

 戦術の土台という点では、効果的なサーブを起点に、ブロックとレシーブの関係性を構築することで相手に決定機を与えず、切り返しては石川と対角に入る佐藤淑乃それにオポジットの和田由紀子(ともにNECレッドロケッツ川崎)が中心となって得点を重ねるスタイルでここまで戦ってきている。と同時にミドルブロッカーは実績ある面々を使い分け、リベロは試合や状況に応じて都度変更、控えで入るメンバーにもフレッシュな顔ぶれが並ぶなど、選手起用も含めたチームづくりはまだまだここから様々な可能性にトライしていくことは確かである。

 千葉ポートアリーナ(千葉)にて7月9日から13日にかけて行われる予選ラウンド第3週。さらなる飛躍へ、一歩ずつ前進し続ける女子日本代表をぜひ、ご覧あれ。

[文:坂口功将]

【関連記事】【女子バレー】新生ジャパンを象徴する「三本の矢」と「フレッシュな力」 ネーションズリーグでの“アピール度”を探る

【関連記事】【女子バレー】惜敗のイタリア戦で石川真佑が痛感 トップレベルの勝負は「細かいミスがやはり左右する」

【関連記事】【女子バレー】古賀紗理那の“魂”を受け継ぐエース候補が躍動! 新体制初戦で佐藤淑乃が見せた大きな可能性