日本がさらに進化するためには、秋本ら若手の突き上げが必要だ(C)Volleyball World 2028年ロサンゼルス…

日本がさらに進化するためには、秋本ら若手の突き上げが必要だ(C)Volleyball World

 2028年ロサンゼルス五輪にむけて歩み出したバレーボールの女子日本代表は現在、シーズン最初の大型国際大会「ネーションズリーグ」を戦っている。新たに就任したフェルハト・アクバシュ監督のもと、コート上には新たなオリンピックサイクルを象徴する存在が並ぶ。とりわけサイドアタッカー陣は顕著だ。

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 キャプテンに就任した石川真佑(ノヴァーラ/イタリア)は代表初登録の2019年からその高いアタックセンスを発揮し、すでに五輪は2度出場。イタリア・セリエAでも確かな実績を残し、今や堂々と日本代表の中心としてコートに立つ。その対角に抜擢されている佐藤淑乃(NECレッドロケッツ川崎)は2024-25大同生命SVリーグ最優秀新人賞と同シーズンの日本人選手最多得点という成績を提げて、この代表活動に臨んでいる。そしてオポジットに入り、ネーションズリーグでも7試合を終えて堂々のチーム最多得点を叩き出しているのが和田由紀子(NEC川崎)。これまでの日本代表活動でも非凡なアタック力を披露し、昨年夏はパリ五輪出場を経験し、得点源となっている。

 まさに“三本の矢”といえる彼女たちが攻守の要を担っているわけだが、さらにフレッシュなサイドアタッカーたちも頭角を現しつつある。

 その筆頭が、2012年ロンドン五輪銅メダリストの大友愛を母に持つ秋本美空(ヴィクトリーナ姫路)。身長185センチ、最高到達点316センチというポテンシャルを備え、高校時代には全国制覇を経験、アンダーエイジカテゴリー日本代表としても国際大会でベストスコアラーなど数々の実績を残してきた。このネーションズリーグでも初戦のオランダ戦(現地6月4日)で起用されるとさっそくシニア代表初得点をマーク。その後も主には2枚替えで投入されている。高さが武器とはいえ海外勢を相手にする以上、「自分よりも高い選手がいるので、それだけでは勝負できない。テクニックが重要になってくる」と本人(現地6月6日のセルビア戦を終えて)。未来の大エース候補は今、実戦を通してレベルアップを遂げている最中だ。

 そしてもう一人、現地6月21日に香港で行われた予選ラウンド第2週の中国戦で一躍脚光を浴びたのが北窓絢音(SAGA久光スプリングス)である。学生時代に高身長(現在は183センチ)ながら高いレシーブ力を備えるアタッカーとして才能を見初められ、アンダーエイジカテゴリー日本代表に選出、所属先のSAGA久光でもこの2024-25シーズンはレギュラーに抜擢される機会も多かった。中国戦では途中出場に始まり、第3セット以降は開始時からコートに立つと「もう攻めるしかない、という気持ちでどんどん点を決めることができた」と終わってみれば10得点をマークする。試合後には「元々、パス(レシーブ)は得意なのですが、そこでミスがあったので。もっとミスをしないようにしていかなければ」と反省点を口にしたものの、アタック面で力を示したことは自身それにチームにとっても収穫だった。

 結果的に1-3(15-25、12-25、25-18、22-25)で敗れた中国戦では、ここまで好調だった和田が沈黙。またチーム全体も被ブロック14本を喫するなど、攻め手に欠いた。2枚替えで起用された秋本もブロックにつかまる場面があったわけだが、それもまた成長の糧となる。

 それは、北窓のチームメートであるアウトサイドヒッターの深澤めぐみも然り。日本代表は今年度が初登録で、ネーションズリーグの帯同メンバー入りを果たす。ここまで主にリリーフサーバーとして起用され、着々と経験値を積み重ねている。

 まだ2028年への道のりは始まったばかりであり、秋本や北窓といった新戦力たちがいかに力をつけてくか。それもまた女子日本代表が飛躍するための鍵の一つであるのは間違いない。

[文:坂口功将]

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