スアレスの死球を受け、顔をしかめた大谷。(C)Getty Images 4試合で8死球。まさに“死球合戦”となったドジャ…

スアレスの死球を受け、顔をしかめた大谷。(C)Getty Images

 4試合で8死球。まさに“死球合戦”となったドジャースとパドレスのライバル対決は米球界で小さくない波紋を呼んだ。

 とりわけ物議を醸したのは第4戦だ。9回表にパドレスのフェルナンド・タティスJr.が相手右腕のジャック・リトルから死球を受けた際に、両ベンチがエキサイト。グラウンド上で一触即発の事態になった。この際に「いい加減にしろ」と不満をぶつけあったドジャースのデーブ・ロバーツ監督、パドレスのマイク・シルト監督が退場となり、警告試合が発せられていた。

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 ただ、これだけで騒動は終わらなかった。その裏のドジャースの攻撃の際に大谷翔平の右わき腹付近に、相手守護神ロベルト・スアレスが投じた100マイル(約160.9キロ)が直撃。当てられた本人が「大丈夫、出てこなくていい」と自軍ベンチをなだめるような仕草を見せながら一塁へ歩き出したことで事態は収拾したが、タティスJr.への死球に対する「報復」と取られても仕方がない一球に緊張が張り詰めた。

 先に故意にやられた場合はやり返す――。米球界に長く息づいてきた“暗黙のルール”を考慮すれば、パドレス側の大谷への死球は危険ではあったが、必然的ではあった。

 ゆえに米識者からもスアレスの死球が「意図的」であり、「正しい」という見方が提唱された。米野球専門YouTubeチャンネル『Foul Territory』のコメンタリーで、ヤンキースなど9球団を渡り歩いた捕手でもあったエリック・クラッツ氏は、番組司会のスコット・ブラウン氏から「タティスが当てられた後に、オオタニに当てたことについて、パドレスが正しいと思う?」と問われ、「イエスだ」とキッパリ。そして、パドレス側の心情を慮った持論を展開した。

「何よりも自分の選手を守らないといけない。もしも、投げた球がどっかに行ってしまうか、ろくに制御できないようなヤツを投げさせるなら、お前のところのゴールデンチケット、つまりショウヘイ・オオタニが当てられると理解するべきだ。いや、すまないとは思う。ただ、もしそれが嫌なら、ドジャースはオオタニを試合から外すか、タティスに対して、ちゃんとどこに投げたかわかるヤツをマウンドに送るべきだった」

 さらに大谷への死球を「報復だ」と断じるクラッツ氏は、「(大谷への死球は)理解はできる。パドレスは悪者扱いされるだろうし、狙って投げているから退場者もより多くなる」とした上で、「“いじめ”のように見えてしまうかもしれないが、あれは平和を保つ意味でも、やらなきゃいけないんだ」と力説。そして、「ごめんよ、ショウヘイ」と締めた。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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