ソフトバンク打線もねじ伏せたネルソン。(C)産経新聞社 ようやく日本球界に慣れてきたのだろう。阪神の助っ人リリーバーの存…

ソフトバンク打線もねじ伏せたネルソン。(C)産経新聞社

 ようやく日本球界に慣れてきたのだろう。阪神の助っ人リリーバーの存在感を増している。

 6月21日に本拠地・甲子園で行われたソフトバンク戦。3点リードした終盤8回にマウンドを託されたのは、ニック・ネルソンだった。先発の大竹耕太郎が6回に緊急降板するアクシデントが起きた中で、3番手の及川雅貴からバトンを受け取った背番号42は、先頭から2者連続安打を浴びて無死一、二塁とされるピンチを招いたものの、前夜に決勝打を放っていた代打の石塚綜一郎、続く川瀬晃を連続三振に仕留めるなど無失点で切り抜けた。

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 とりわけ空振り三振とした川瀬に対する投球は圧巻。153キロと154キロの4シームで追い込むと、最後は140キロのチェンジアップで仕留めた。高低と奥行きを巧みに利用した坂本誠志郎のリードもさることながら、求められたコースに投げ切ったネルソンも見事だった。

 春先に制球難を露呈したネルソンは、開幕こそ2軍で迎えたが、フォームの安定を図ると、徐々にパフォーマンスも良化。4登板というスモールサンプルながら防御率0.00、WHIP0.50の堂々たる内容で5月15日に1軍へ。昇格後は、ここまで10登板で防御率0.90、WHIP1.30の上々の成績をマーク。さらに直近7試合では奪三振率も11.05と上がり、今月6日のオリックス戦で頭部に打球が直撃して緊急離脱した石井大智の穴を見事に補填している。

 近年ではロベルト・スアレス(現パドレス)がそうであったように、課題を抱えていた助っ人投手が良化するのは、阪神の伝統芸とも言える。そんな“魔改造”を受けたネルソンの好調ぶりには、ファンも「モノになったかもしれない」「勝ちパターンに定着しそう」「3か月で修正出来る阪神のコーチ陣強すぎる」と称賛。さらに藤川球児監督も先述のソフトバンク戦後のフラッシュインタビューで「ネルソンはエンジンがかかってきた。2本のヒットは打たれましたけど、夏を前にしてギアが上がってきたような、これからが楽しみになる最後だった」と期待を寄せた

 正念場となる夏場に向け、ブルペン陣の強化は必至。その中でネルソンの台頭は頼もしい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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