投手として実戦の場にようやく立った大谷。(C)Getty Images 去る6月16日は、球界にとって重要な日となった。…

投手として実戦の場にようやく立った大谷。(C)Getty Images

 去る6月16日は、球界にとって重要な日となった。ドジャースの大谷翔平がパドレス戦で投手として約2年ぶりのマウンドに立ったのだ。

 決して“完全復活”を印象付けたわけではない。投げたのは、わずか1イニングで、28球。それでも二刀流という現球界で唯一無二の挑戦を続ける偉才が、投手としての再起に向けて本格始動したのは、その異例のリハビリプロセスを含めて小さくない話題を生んだ。

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 すでに現地時間6月22日のナショナルズ戦での2度目の登板が決まっている大谷。今後も実戦の場での“リハビリ”を重ねていく想定でいるドジャースだが、直面しているのは、「未知なる領域」(デーブ・ロバーツ監督談)。イニング数をいかに消化し、負荷をかけていくかは、現時点では明確化はされていない。

 そうした状況下で、貴重な“参考材料”となるのは、大谷の支えた指導者の言葉だ。現地時間6月18日には、米野球専門YouTubeチャンネル『Foul Territory』に、エンゼルス時代の恩師で、二刀流を開花させたジョー・マッドン氏が持論を語った。

 2020年から約3年間の師弟関係にあったマッドン氏は、本人の意向に則って制限を設けない起用法によって、二刀流を確立させた。そんな71歳の重鎮は、「ロバーツにショウヘイとどう接するべきかのアドバイスはある?」と問われ、「私が取り組んだのは毎晩のように彼と話すことだ。毎試合の終わりに『明日の予定はどうだ?』『やりたくないことはあるか』と確認した」と告白。そして、大谷を扱う上で自身に問い続けた考えを明かした。

「私が私自身に常にやったことは、『ショウヘイのことを分かった気になるな。我々は何も分かっていないんだ』と問い続けることだった。なぜならショウヘイのような挑戦は誰もやったことがないからね。メジャーリーグのレベルで複数のポジションを毎日こなすなんて、誰も経験がないんだ。だから、何らかの理論や法則で彼の怪我を防げるなんて思いあがるのは、間違いだと思っていた」

 指揮官としてMLB通算1382勝を挙げ、球界の酸いも甘いも知るマッドン氏。そんな智将ですら「ショウヘイを分かった気になるな」という考えに至る大谷の二刀流は、やはり異次元と言えよう。

 ドジャースが大谷を二刀流として起用していく上で「とにかく話すことだ」と強調するマッドン氏は、こうも続けている。

「ショウヘイは本当に凄い選手なんだ。今どういう取り組みをしているかは分からないが、試合前からいつも何かしらのワークアウトをやっているし、信じられないくらいに身体が強い。我々も1、2回くらい、強く『そろそろ休んでくれ』と頼んだことがあったぐらいだ。その時の彼はすんなり聞き入れてくれたのを覚えている。

 彼はとにかく試合に出たがるから、身体の問題に気を配りながら、最終的に彼を信頼する必要がある。そのためにも会話を通じて信頼関係を構築する必要がある。そうすると、彼もこっちを信頼してくれて細かく教えてくれる。とにかく常に誠実で、正直に接することが求められる。そして常に先を見て逆算し、先手を打つことが重要になる」

 ここからドジャース、そして大谷本人がいかに“未知の領域”に踏み込んでいくのか。その挑戦の行く末を興味深く見守りたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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