ハワイ大でプレーするRB伊藤玄太(法政二高出身)が、現地10月14日に行われたサンノゼ州立大(SJSU)との一戦(◯37対26)の終盤に、イート・ザ・ボール要員として初出場を果たした。ホーム・カミング・デー・ゲームとして行われたこの一戦、試…

ハワイ大でプレーするRB伊藤玄太(法政二高出身)が、現地10月14日に行われたサンノゼ州立大(SJSU)との一戦(◯37対26)の終盤に、イート・ザ・ボール要員として初出場を果たした。

ホーム・カミング・デー・ゲームとして行われたこの一戦、試合前にコーチから「スペシャルチームで起用するかもしれない」と、言われていた伊藤だが、残念ながらその機会はなく、時間を消費して勝利を待つ場面を迎えていた。ニーダウンをして時間を消費するための体型(ビクトリー・フォーメーション)には、先発RBセント・ジュストが入る予定だった。しかし、ジュストが伊藤の起用をコーチに進言した。

「グローブを外して握手をする準備をしていた時に、『ゲンタ!』と呼ばれた時は何事かと思いました。ヘッドコーチを見ると『入れ!』と指示をされました」と、伊藤。

昨年、学力が評価されてジュニアカレッジのサンタモニカ大からコーチ推薦入学でハワイ大に編入した伊藤は、いわゆるウォーク・オン入部(志願入部)の選手。NCAAディビジョン1では登録120名の中で最大85名が奨学金選手、つまりチームがリクルーティングをして獲得した選手であり、1試合には60名ほどしか出場できない。さらに、ウォーク・オン選手を起用することは、コーチが自らのリクルーティング能力の低さを認めるという捉え方をされてしまう恐れがあるため、心情的にもかなりハードルの高いと、NCAAフットボールに詳しい識者は言う。

伊藤は昨年、チームからスカウトチーム・オブ・ジ・イヤー(練習台として最も貢献した選手)として表彰されるなど、チーム内での信頼と地位を勝ち取っていった。チームメイトの進言によって日本人RBとして試合中のフィールドに立ったことは、伊藤の真摯な取り組みが実ったものだっただろう。

残り5戦、伊藤はもう一段階上のチャンスを掴むために、日々挑戦を続けている。