角田の健闘ぶりを評価しつつ、マルコ博士は注文を忘れなかった。(C)Getty Images レッドブルの角田裕毅が見せた…

 

角田の健闘ぶりを評価しつつ、マルコ博士は注文を忘れなかった。(C)Getty Images

 

 レッドブルの角田裕毅が見せた“改善”に目が向けられている。

 去る3月27日に電撃的な形で緊急昇格を果たし、レッドブルの一員となった角田。以降は8戦を戦って獲得ポイントはわずかに4。現地時間6月16日に決勝を迎えたカナダGP(F1第10戦目)でも、予選のFP3で受けた10グリッド降格のペナルティの影響を受けてトップ10入りはならず。エミリア・ロマーニャGP(同第7戦)以来となるポイント獲得には至らなかった。

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 周囲を納得させる“結果”を残せず、一部ではシート交代も囁かれる角田。絶対的エースに君臨するマックス・フェルスタッペンとは異なる彼の立場を考えれば、し烈な競争下でポイントロスが続く現状は痛恨と言える。

 ただ、チームの上層部は、操作困難とされるマシン「RB21」に適応し始めている日本人を評価し続けている。英公共放送『BBC』の専門YouTubeチャンネル「The Inside Track」の取材に応じたチーム顧問のヘルムート・マルコ博士は「ユウキはまだ我々が期待していた成功を収めることができていないが、初日は常にマックスから0.1〜0.2秒差につけている。それはここ数年で見られなかったことだ」と強調。多くのセルジオ・ペレスやリアム・ローソンらセカンドドライバーたちが苦心してきたマシンで、最適解を見出そうとしている角田の成長を訴えた。

「ユウキは持ち前のスピードをポイントに変えていく必要がある。私は彼に表彰台に上がるだけの才能があると考えている。彼は個人的なアプローチも改善したんだ。これまでのユウキは、もはや周知の事実だが、無線でいかに感情を爆発させるだけだった。彼はそこから学んだんだ」

 さまざまな経験を経て精神的な強さも身に着けた。そう角田の現状を評価するレッドブルの名伯楽は「彼は速いドライバーだ。ただ、今以上にまとめ上げていく必要がある」と注文こそ忘れず、こう続けている。

「マックスに勝とうとするのは不可能だが、彼自身はその現実を受け入れていると思う。我々はとにかく彼が多くのポイントを獲得してくれることを願っている」

 多くの名手たちが苦心してきた“常勝軍団”で真価を発揮しようとしている角田。レッドブルでの生き残りを懸ける彼が試練の夏をどう乗り越えるかは実に興味深い。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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