マチャドと何やら話し込む大谷。(C)Getty Images 同地区のライバル関係の遺恨を深める“死球”は波紋を呼んでい…

マチャドと何やら話し込む大谷。(C)Getty Images
同地区のライバル関係の遺恨を深める“死球”は波紋を呼んでいる。現地時間6月16日から始まったドジャースとパドレスの4連戦でのそれだ。
キッカケは、第1戦での一球だった。4回にディラン・シーズからドジャースのアンディ・パヘスが死球を受けると憤怒。これに「お前何様のつもりだ!」と吠えたマイク・シルト監督をはじめとするパドレスベンチが過敏に反応。球場全体を含めて一触即発のムードが高まった。
そして迎えた17日の2戦目で両軍の間に生じた緊張感は爆発する。
3回にドジャースのルー・トリビーノが、パドレスの中心打者であるフェルナンド・タティスJr.に死球を当てると、その裏には大谷翔平が相手右腕ランディ・バスケスから右太もも付近に故意とも見られる“報復死球”を受け、両軍に警告が与えられた。この警告処分に納得のいかなかったドジャースのデーブ・ロバーツ監督が猛抗議の末に退場処分となった。
球場がヒートアップする“死球合戦”は、18日の第3戦目でも続き、3回にはパドレスの主砲マニー・マチャドが思わずのけぞる頭部付近を攻められる場面もあった。
因縁が深まる両軍のせめぎ合いは日本でも物議を醸した。ただ、一連の死球は相手からされた何かしらの行為に対して、仕返しの意味で意図的に与えるという球界特有の“不文律”が大きく作用としたと考えられる。
一部で「時代遅れ」との声もある不文律。それだけに大谷も巻き込まれた“死球合戦”は、「危険だからやめた方がいい」「いい加減に怪我の可能性があるようなことはやめるべき」とファンが指摘するなど、小さくない問題としてクローズアップされた。
もっとも、現場の酸いも甘いも知る識者たちからは、球界で生じる暗黙のルールから「激しい展開も仕方がない」という見方が強まった。MLBの公式ネット局『MLB Network』のアナリストで、元アスレティックスの捕手でもあったアンソニー・レッカー氏は「バスケスがオオタニに投げた内角へのボールは明らかに故意だった」と指摘。その上で「彼(大谷)に当てたのはいわゆる昔ながらの野球的なやり取りだった。誰かがやられたら、相手の主力打者にやり返す。それが球界のリアルであり、一種の自浄作用でもある」と追及した。
「バスケスはむしろ上手くやったと思う。怪我のリスクが小さい太もも付近に当てたのは、正しいやり方だった。個人的に特に問題があるとは思わないよ。ああいう展開でなら、自然とエスカレートしてしまうものだからね」
やられたらやり返す――。そんな球界の不文律は長く残ってきた“ある種の伝統”でもある。それだけに大きな反発を受けようとも、そうそうに在り方が変わりはしなさそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
【動画】大谷翔平に死球後…ロバーツ監督が審判に猛抗議するシーン
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