高校野球の発展と選手育成に尽力した指導者に、日本高校野球連盟と朝日新聞社が贈る「育成功労賞」に、富山南の責任教師、伊藤…

 高校野球の発展と選手育成に尽力した指導者に、日本高校野球連盟と朝日新聞社が贈る「育成功労賞」に、富山南の責任教師、伊藤斎(ひとし)さん(61)が選ばれた。32年間の指導歴が評価された。

 高岡南高校の初代主将として、野球部がなかった学校に硬式野球部を創設した。1980年に入学し、野球好きの同級生や、バドミントン部など他の部活動の生徒たちに声をかけて野球部を結成。2年生の秋季県大会で初の公式戦にのぞんだ。

 翌夏、第64回全国高校野球選手権富山大会に出場、1回戦で伏木に2―11で敗れたが、「最初で最後の夏。負けはしましたが、いい思い出です」と振り返る。

 富山大学を卒業後、教員に。93年春に母校の高岡南の監督に就任した。夏の大会の最高成績は、99年の第81回大会で3勝、8強に進出した。その後、上市で監督、富山南で監督、責任教師を務めた。

 長年、グラウンドに立ち、選手と向き合ってきた。育成方法の変化について触れ、「指導者も社会のニーズに合わせていく時代になった」と語る。若い時は、結果を重視し、選手に「ついてこい」と厳しく指導してきたが、年齢を重ねるにつれて「選手をいかにやる気にさせるか」を意識するようになったと話す。

 選手には「感謝される人間になること」の重要性を教え、「その人徳を得るために、日々の努力が大切」と説いている。

 現在の富山南は部員不足のため、呉羽、富山西と連合チームで107回大会に出場する。今、気になるのは高校再編議論の行方だ。生徒数の減少が避けられないものの、「野球部、運動部が安心して続けられる環境になってほしい」と望んでいる。(前多健吾)