佐藤は昨年西武で4番を務めた時期もあるなど、パンチ力ある打撃が持ち味(C)産経新聞社 中日は15日、西武・佐藤龍世を金…

佐藤は昨年西武で4番を務めた時期もあるなど、パンチ力ある打撃が持ち味(C)産経新聞社
中日は15日、西武・佐藤龍世を金銭トレードで獲得したと発表した。15日に行われた交流戦、西武対中日の試合終了から約2時間後に発表されたとあって、ファンからは驚きの声があがった。本稿では主に中日側の目線で、トレードの背景と期待される役割を綴りたい。
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■今季は二軍で「余剰戦力化」
佐藤は1997年1月15日生まれの28歳。中日では福永裕基、梅津晃大、齋藤綱記と同学年だ。北海道で生まれ育ち、東北の雄・富士大から2018年ドラフト7位で西武に入団。1年目から一軍に52試合出場を果たすなど、強打の三塁手として頭角を表した。
その後自身の不祥事もあり、21年途中に日本ハムへトレード移籍。2ストライクからのアプローチがうまく、新庄剛志監督から「ペッパー師匠」と名付けられるなど、存在感を発揮した。
23年シーズンからは再びトレードで西武に復帰。2年連続で90試合以上出場しており、特に24年はチーム最多タイの32試合で四番を任され、7本塁打を放つなど、打撃面でけん引。主力への階段を上がっていった。
風向きが変わったのは今季に入ってから。西口文也新監督の方針でレギュラーが白紙になり、佐藤は三塁だけでなく外野を含めた他のポジションにも挑戦することになった。その最中でオープン戦での寝坊事件が発覚。謹慎と三軍降格が言い渡され、その後ペナルティは解除されるも一軍昇格はなく、「余剰戦力」と化していた。
二軍での成績は40試合で打率.326、4本塁打15打点。15日のDeNA戦でも三塁を守り、好プレーを見せていた。
■移籍組が実力を発揮しやすい環境
そこで行われたのが今回のトレードだ。中日の三塁手は福永の左手関節骨折に加え、高橋周平も左肘の脱臼で長期離脱が確定的。開幕スタメンだった石川昂弥は不振を極めている。当分の間はオルランド・カリステとジェイソン・ボスラーの両外国人と板山祐太郎、山本泰寛を中心に回さざるを得ない状況だ。
素行面の心配はあるものの、そこにはある程度目をつぶり、新たな環境で実力を発揮させたいと推察する。
そうなると、佐藤に期待したいのは、三塁のポジションをガッチリと掴むこと。持ち前の打撃を活かし、居場所を見つけてもらいたい。
幸い、現在の中日野手陣は移籍組が実力を発揮しやすい環境にある。最たる例は細川成也で、今季は上林誠知が再ブレーク中。板山と山本も戦力外から這い上がった選手で、西武時代のチームメイト・川越誠司も一軍で奮闘。こういう点でも佐藤には追い風が吹いていると感じる。
幸いチームは交流戦に入ってから今季初の5連勝を達成するなど、少しずつ勢いを見せている。なるべく早く一軍に来てほしいのがファンの本音だろう。強打を誇る佐藤には打線強化が課題とされるチームの「救世主」的な活躍が望まれる。
そして、佐藤の活躍が周囲に波及し、チーム力の底上げにつながることを祈っている。
[文:尾張はじめ]
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