今週、大きく取り上げられたプロ野球界の野手はソフトバンクの秋広 優人外野手(二松学舎大付)ではないでしょうか。5月にリチ…

今週、大きく取り上げられたプロ野球界の野手はソフトバンクの秋広 優人外野手(二松学舎大付)ではないでしょうか。5月にリチャード内野手(沖縄尚学)のトレードで、高校の先輩・大江竜聖投手とともに巨人からソフトバンクに移籍しました。14日、DeNA戦で今シーズン初本塁打を放ちました。秋広選手についてはどんな完成形を目指すのかが話題になっています。

 巨人時代、秋広選手の200センチ100キロという体型を見て、長距離打者になってほしいという期待が寄せられていました。

 ただ、秋広選手を高校時代から追ってきた筆者からすれば、秋広選手は長距離打者ではなく、アベレージ寄りの中距離打者だと考えています。だけれど、フィジカルの強さで、強い打球のヒットを狙ったつもりが、想像以上に打球が伸びて本塁打が多くなりやすい長所も持ち併せています。中距離打者だと確信した高校時代を振り返っていきたいと思います。

高校時代から器用な打撃が光っていた

 秋広選手を初めて見たのは高校1年秋の都大会です。多摩一本杉球場で行われた東大和戦でスタメン出場した秋広選手は3打数0安打1打点に終わりましたが、角度のあるフライを打ち上げ、強打者が多い二松学舎大付の打者の中でも飛び抜けた素質を持った打者に見えました。スイング軌道も無駄がなく、的確にミートできる技術の高さが光りました。

 今後も追いかけていきたい打者だと感じました。

 この時から200センチもあった秋広選手はまだ体の線も細く、じっくりと体作りを行っていきました。その過程で体作りを進める中で、投手にも取り組みます。

 最終学年では常時130キロ後半〜140キロ前半まで速くなり、打者としても高校通算23本塁打を放つなど、20年の東京都を代表する二刀流へ成長します。最後の夏でも放物線を描く本塁打を打つなど、強打者としての一面を見せますが、個人的にはコンタクト力が高く、最後の夏は16打数8安打と打率5割を記録したように、器用な打者という印象を受けました。しっかりと強く振る中でもライナー性の打球を飛ばしていました。

 スケールの大きさ、コンタクト力を兼ね備えた打者として高卒プロでいく選手だと感じました。秋広選手は将来性の高さを評価され、巨人から5位指名を受けます。

ソフトバンクに移籍して持ち味を発揮

巨人時代の秋広優人

スケールの大きい秋広選手を見て、スラッガーとして期待されていました。ただプロでも長距離打者になれるかというと、疑問はありました。現在、セ・リーグで本塁打1位の阪神の佐藤輝明外野手(近畿大)、そして巨人の4番・岡本和真内野手(智弁学園)の打撃練習を見たことがありますが、この2人は詰まっても弾道の高い本塁打を打てる素質の高さがありました。佐藤選手はフリー打撃に入る前のティー打撃を見ても、いかに飛ばすことにこだわって、打撃フォームを作り上げていました。

 対して秋広選手はライナー性の打球が多く、中距離打者という認識でした。1年目の春季キャンプでは紅白戦、実戦形式の打撃で木製バットに順応し、安打を量産していましたが、秋広選手の本質がうまく出たと思います。


 秋広選手は高卒3年目の23年に121試合に出場して、10本塁打を記録し、期待が持てる成績を残しました。しかし4年目はわずか26試合に終わり、5年目の今年は巨人で5試合に出場して、7打数1安打という結果に終わり、トレードで移籍となりました。

 ソフトバンクに移籍してからの打撃は秋広選手の持ち味がよく出ていると思います。14日の本塁打はまさに弾丸ライナー。ヒットの延長線上が本塁打という秋広選手らしい本塁打でした。しっかりと強く振りながらもコンタクト力は失っていない打撃でした。

 移籍後、わずか15試合ですが、35打数10安打、2二塁打、1本塁打、3打点.、長打率.429と優秀な数字です。

 これから秋広選手が求められるのはどれだけハードヒット(打球速度153キロ以上)を増やせるかだと思います。角度を意識して、遠くへ飛ばすスタイルでハマる選手はいますが、秋広選手には合わなかった。これから打率、そして速い打球でヒットを重ねること。

 秋広選手はヒット狙いでも、本塁打にしてしまうようなフィジカルの強さ、スイングスピードの速さがあります。これからは秋広選手のタイプに合ったアプローチ法が奏功すれば、これからも快打を重ねる可能性があります。

 そして毎年、打率3割前後、10本塁打以上を打てる打者になれば理想的ではないでしょう

 自分に合った打撃スタイルで秋広選手は今度こそ大ブレイクを果たし、一流選手の仲間入りを果たすことはできるでしょうか。