日本のスポーツ施策の根幹となる改正スポーツ基本法が13日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。基本法ができた2011…

 日本のスポーツ施策の根幹となる改正スポーツ基本法が13日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。基本法ができた2011年以来初となる大規模な改正。この間の社会の変化に合わせ、スポーツを通じた社会課題の解決を見据えた要素が網羅された。

 前文では、スポーツに参画できる機会の確保について「人種、性別、年齢、障害の有無等にかかわらず」と明記。共生社会の実現への寄与が意識された。「多様な国民一人一人が生きがいを持ち幸福を享受できるようにする」と、スポーツを通じたウェルビーイング(心身とも良好な状態)の実現もうたわれた。基本理念では「長寿社会の実現に資する」と記された。

 スポーツの公正と公平の確保も強く打ち出した。暴力やハラスメントだけでなく、「性的な言動」や「インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷」も明示。これらによってスポーツに関わる人たちの環境が害されないよう、必要な措置を国や地方公共団体に義務づけ、スポーツ団体には努力を求めた。ドーピング防止活動の推進やスポーツ団体運営の公正性、透明性の確保なども盛り込まれた。

 スポーツ事故の防止については「気候の変動への対応に特に留意しなければならない」と、熱中症対策の重要性が追加された。

 スポーツ施設の整備に関しては、国と地方公共団体の努力義務として「まちづくりとの一体的な推進」を明記。地域社会の形成や、地域経済の活性化に資することが意識された。(編集委員・中小路徹)