和歌山県古座川町民体育館で8日、「ランズエンドプロレスリング古座川大会」(古座川町観光協会主催)が初めて開かれた。町内…
和歌山県古座川町民体育館で8日、「ランズエンドプロレスリング古座川大会」(古座川町観光協会主催)が初めて開かれた。町内在住の格闘家、鈴木貴裕さん(38)の「過疎に悩む町をプロレスで盛り上げたい」との思いが実を結び、町民を中心に県内外からの観客約400人が熱戦に声援を送った。
鈴木さんは2017年に千葉県から移住。捕獲したシカやイノシシの精肉や加工品の製造・販売を手がける「古座川ジビエ 山の光工房」の施設長を務める傍ら、「ジャイアン貴裕」のリングネームで総合格闘技や大阪などを拠点にする「ランズエンドプロレスリング」に出場してきた。
1町4村が合併して古座川町が誕生した1956年に約1万人いた人口は、今年6月1日には4分の1以下の2266人にまで減少。少子高齢化が大きな課題となっている。
前古座川町観光協会長で、現在は広報担当理事を務める鈴木さんが、ランズエンドプロレスリングの崔領二代表に協力を求め、実現した。
2022年10月、那智勝浦町であった「世界遺産プロレス」に参戦した鈴木さんは、崔さんに地元でのプロレス興行の開催を打診した。
今大会にはプロレスラーや総合格闘技の選手ら23人が参加。町民や小学生以下は無料だった。
大屋一成町長が開会を宣言すると悪役レスラーのHASEGAWA(ハセガワ)が乱入。「自然豊かでいい町やが、コンビニあらへんやんか!」といちゃもんをつけ「今日がジャイアンの引退試合だ」と叫び、観客席に大きなブーイングを巻き起こした。
興行はエキシビションマッチを含む6試合。3選手が同時に戦う3ウェーマッチやタッグマッチなどが場外乱闘を含めて行われた。メインイベントの3対3のタッグマッチには、鈴木さんと崔さんも出場。激しい肉弾戦を繰り広げ、ジャイアン貴裕が連敗を喫していた宿敵を倒して閉幕した。
ジャイアン貴裕のピンチには客席から大きな声援がわき起こった。新宮市から家族4人で来た王子ケ浜小学校6年の深瀬陽大さんは初の生観戦。「何度もたたかれたり、蹴られたりで痛そうだったけど、最後に勝ってよかった。迫力がすごかった」と喜んでいた。(菊地洋行)