陸上の世界最高峰シリーズ・ダイヤモンドリーグ(DL)第6戦が12日、ノルウェーのオスロであり、女子やり投げは北口榛花(…

 陸上の世界最高峰シリーズ・ダイヤモンドリーグ(DL)第6戦が12日、ノルウェーのオスロであり、女子やり投げは北口榛花(JAL)が64メートル63のシーズンベストで今季DL初優勝を果たした。DLでは通算10勝目。男子300メートル障害は、地元のカルステン・ワーホルム(ノルウェー)が32秒67の世界新記録で制した。(オスロ)

■コーチに託された5投目で

 北口は試合前、やりの狙いを定めた。助走路からまっすぐ前を見た先にある、競技場外にそびえ立つ赤いクレーンだ。

 普段は、競技場の大型スクリーンや客席の出入り口をターゲットにしているという。だがこの日、それは見当たらない。

 「私にとっては狙いを定めるのが難しかった」

 目下の課題は、やりの角度を安定させること。それを意識して臨んだが、4投目までは右にぶれ、4位にとどまっていた。

 ただ、好感触もあった。ファウルゾーンぎりぎりまでぶれていても、60メートルは超えていた。

 1投ごとにセケラックコーチに助言をもらい、修正。5投目の前にこう言われた。「次を6投目だと思って投げてくれ」

 大会のルールで、5投目までに3位以内に入らなければ、最終投てきへは進めない。これまで何度も最後に逆転劇を起こしてきた力を信じたコーチに、託された。

 手拍子を求めて投げた一投。最後までやり先を見て投げた分、まっすぐ飛んだ。64メートル63の今季ベストに満面の笑みがこぼれた。「正直、ほっとした気持ち」

 6月は体調不良の影響で、予定していた2試合を欠場した。万全の練習ができていない中でつかんだ今季DL初勝利だ。

 「今回の投げも完璧ではなかったので、もうちょっと、本当は記録が欲しい」。パリ五輪王者は、9月に世界選手権東京大会を控えた今シーズンも貪欲(どんよく)だ。(オスロ=加藤秀彬)