今週は阪神競馬場で、第66回宝塚記念(GI、芝2200m)が行われる。春の総決算となるグランプリに18頭の精鋭が集結した…

今週は阪神競馬場で、第66回宝塚記念(GI、芝2200m)が行われる。春の総決算となるグランプリに18頭の精鋭が集結した。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬18頭の全頭診断を行う。

◆【宝塚記念2025予想/枠順傾向】1~3枠優勢も有力馬が外枠に集中 ベラジオオペラと想定“8人気以下”の伏兵に「連対率50.0%」の可能性浮上

■宝塚記念2025 出走予定馬全頭診断

・1枠1番 べラジオオペラ

ディフェンディング・チャンピオンの立場で迎えた前走大阪杯。好位抜け出しの王道競馬でレコード勝ちと、文句のつけようがないパフォーマンスを披露してみせた。3戦3勝の阪神芝内回りは申し分ない舞台だが、2014年以降、阪神開催年の宝塚記念において前走大阪杯勝ち馬は【0.0.1.5】連対なし。夏バテが尾を引いた昨年秋が示すように6月半ばですでに30度近い暑さも気がかりで、取りこぼす可能性は想定すべきか。

・1枠2番 ドゥレッツァ

昨年は精彩を欠いていた時期もあったが、秋以降はジャパンカップ2着、ドバイシーマクラシック3着と完全復調。特に同じ斤量58キロのドウデュースとタイム差なしだったジャパンカップは高く評価できるレースと言えるだろう。芝2200mは【2.0.0.0】と負け知らず。この中間は坂路日曜追いを複数本入れているが、これは前述のジャパンカップ2着時と同じ調教パターン。侮れない。

・2枠3番 ローシャムパーク

豪州遠征を敢行した前走は6着。迎えた今回、陣営は栗東滞在を選択したが中間のウッドは6F75秒2-4F48秒6の猛時計をマーク……よほど栗東の水が合うのか、状態面がグングン上昇している印象だ。叩き2戦目の成績【2.1.0.0】を見るより、叩き良化型のタイプ。折り合いがカギも本レースを制したスイープトウショウやオルフェーヴルをはじめ、数々のクセ馬を操縦してきた池添謙一が手綱を握る今回、穴馬候補として要警戒。

・2枠4番 プラダリア

得意の京都芝外回りでも掲示板外が続く近走。ピークアウトしてしまった感は否めない。

・3枠5番 チャックネイト

斤量58キロ以上の重賞レースでは【0.0.0.4】掲示板内なし。関西圏のGIかつ斤量58キロでは厳しいだろう。

・3枠6番 ボルドグフーシュ

オープンクラスの馬券内はすべて芝2200m以上の馬。芝2000mかつレコード決着の前走大阪杯は不適条件を詰め合わせたような一戦だったが、1分56秒台で走破しつつ大負けしなかったのは収穫だ。急坂芝2200m以上は【2.3.2.1】掲示板外なし。イクイノックス、アスクビクターモア、ジャスティンパレスら同世代のGI馬を覇を競った実績を無視することはできない。

・4枠7番 ジャスティンパレス

再びGIを獲るならこれ以上ない条件にも見えた前走天皇賞・春。仕掛けどころに問題があったにせよ、全盛期のパフォーマンスには程遠かった。阪神替わりがプラスに働くとは思えず、上位進出は難しい注文と言えるだろう。

・4枠8番 シュヴァリエローズ

年明け以降はテンにいけないレースが続いてしまっている。ここでの強調材料は乏しい。

・5枠9番 ヨーホーレイク

日本ダービー以来のGI参戦となった前走大阪杯。レコード決着の高速馬場で追走に苦労したが、馬群を縫うように進出し3着に食い込んだ。稍重-重で3勝の馬場適性を見るより、週末の雨予報は歓迎材料。2戦2勝の芝2200m替わりに加えて非関東圏の成績は【5.1.3.0】、人気盲点の想定だが軽視は禁物だ。

・5枠10番 リビアングラス

中山芝2500mで大外枠を引いた前走は厳しいシチュエーション。それでも勝ち馬と0秒1差、アーバンシックとはタイム差なしの内容は自力強化をうかがわせるものだった。芝2200mは【2.1.1.0】馬券外なし。想定以上の雨が見込まれるここは後方待機組が届かない可能性があり、前にいける本馬の残り目はケアしたい。

・6枠11番 ソールオリエンス

昨年の本レース2着馬。当時は極端な外差し馬場が味方した印象で、その後は末脚不発のレースが続いている。近走で先着を許した馬が多数出走するここは厳しい戦いが予想される。

・6枠12番 メイショウタバル

菊花賞以降は馬券外が続く馬。ただ同レースは出入りの激しい競馬で中途半端な位置取りに終始し、日経新春杯は1000m通過57秒7の”暴走”。いずれも参考外と捉えられる。ソウルラッシュ、ロマンチックウォリアーと0秒4差のドバイターフは及第点と言えるし、2014年以降、阪神開催年の宝塚記念において前走ドバイor国内芝GIで逃げた馬は【2.1.3.2】。タフな馬場で後続が切れ味を削がれるようなら残りはありそうだ。

・7枠13番 アーバンシック

前走日経賞はまさかの3着。折り合い面がギリギリかつ、終始外々を回らされる競馬になったことで終いの伸び脚を欠いた印象だ。とはいえ当時のメンバーレベルを考えると、最低でも連対圏は確保してほしかったのが本音。今週末の阪神は前走に続いて渋った馬場コンディションが濃厚で、よくても押さえ程度の評価が妥当か。

・7枠14番 ジューンテイク

長期休養明けの前走は勝ち馬と2秒以上離される惨敗。復調にはもう少し時間がかかりそうだ。

・8枠15番 ロードデルレイ

初のGI挑戦となった前走大阪杯。レコード決着を渋太く伸びて2着とその力を存分に示した。本質的には【5.1.0.0】の左回りが合っている印象も、芝2200mは2走前に圧勝歴がある距離。何らかの印は必要だろう。

・8枠16番 ショウナンラプンタ

前走天皇賞・春は3着。終始淀みなく流れた展開にあって、4角3番手から粘った内容は決して悪くなかった。とはいえ2走前の阪神大賞典、2歳時に参戦したホープフルSを見るより立ち回りの上手さが求められる小回りコースへの適性はイマイチ。前走以上のパフォーマンスを望むのは酷に映る。

・8枠17番 レガレイラ

昨年の有馬記念1着以来となる実戦。当時はパーフェクトな騎乗に加えて斤量54キロの恩恵もあったが、勝ち切ったことは評価すべきだろう。とはいえ今回は骨折休養明けのローテーションに加えて、同世代の牝馬同士でも馬券外に敗れた渋った馬場コンディションが濃厚。重賞での良績は冬の中山に限定されており、大きく評価を上げるには至らない。

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Winsightより一部編集・転載(2025年6月12日 18:10公開の記事

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家 競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。