中学校の枠を超えた軟式野球クラブが、岩手県宮古市に初めて誕生した。部活がない中学の生徒でも野球を楽しめるように、保護者…

 中学校の枠を超えた軟式野球クラブが、岩手県宮古市に初めて誕生した。部活がない中学の生徒でも野球を楽しめるように、保護者らが奔走して立ち上げた。6月14日には3年生にとって最後の大会となる県中学校総合体育大会(県中総体)地区予選に挑む。

 宮古エンジョイベースボールクラブ(宮古EBC)は今春、地域クラブとして正式に発足した。部員は市内の4中学に通う18人。4月下旬には敗戦したものの、そろいのユニホームを着て初の公式戦にも挑んだ。

 平日の6月4日午後7時すぎ、ナイター照明がついた宮古市の田老第一中学校の校庭に、保護者の車などに乗ってメンバーが集まった。監督は野球部ごとクラブに参加した津軽石中の小笠原聡教諭(49)。連係プレーを確認しながら守備練習をした後、打撃練習に汗を流した。

 練習時間が限られるため、分単位に区切って守備と打撃を交代した。照明が届かず、高い飛球は目測を誤る選手も。午後9時前に練習を終えた。

 津軽石中3年で主将の木村友也さんは「部員が増えて、やれる練習が増えた。1年が多いのでレベルはまだまだだが、試合では全力プレーしたい」と話した。

 「部活動がなくて野球したくても断念する子どもがいる。入学した学校によって機会が平等でないのはおかしい。何とかしたかった」とクラブ代表の姉石政司さん(45)。市教育委員会によると、市内11中学のうち、6校には部員不足などで野球部がないという。

 今春、中学を卒業した姉石さんの次男も野球部だったが、部員不足で連合チームだった。姉石さんらが発起人になり、2023年にクラブの前身となる「MIYAKO少年野球を楽しむ会」を設立。練習会を重ねてメンバーを募り、会を周知する一方、市や学校に活動への理解、協力を求めた。部活の地域移行に向けた市の実証実験にも参加した。

 姉石さんは「宮古の学童野球はチーム数が増えているのに中学は野球部がないところも多い。たくさん練習させてあげたいが、練習場所の確保やコーチの手配など、苦労も多い。行政の支援がもっとあったらうれしい」と話した。

 練習は中学校のグラウンドや野球場などを借りて週1、2回程度という。小笠原教諭は「野球をやりたいと思っている生徒が挑戦できる環境を提供したい。クラブをはじめたばかりで大変な面もあるが、少しずつ環境が整っていくと思う」と期待していた。(佐藤善一)