日本サッカー界のレベル向上が著しい。各年代の代表チームも、世界各地の大会で高い技術を披露している。だが、サッカージャー…

 日本サッカー界のレベル向上が著しい。各年代の代表チームも、世界各地の大会で高い技術を披露している。だが、サッカージャーナリスト後藤健生は、世界の大舞台で勝つためには、いや、今後もアジアで勝ち続けるためですらも、“足りないもの”があるという。それは何か?

■世界で戦う「年代別の日本代表」たち

 5月下旬から6月上旬にかけて、各年代別の日本代表チームが結成されて、世界各地で各年代のトーナメントに出場している。

 その活動状況(監督名、参加大会名、6月8日までの試合の成績)を表にしてみた。

・U-15 平田礼次監督
 ブラトコ・マルコビッチ(クロアチア)
 5/13 ●1-4 ポルトガル
 5/14 ●1-3 イングランド
 5/16 〇6-3 ギリシャ
 5/18 ●0-2ルーマニア

・U-16 小野信義監督
 インターナショナル・ドリーム杯(日本)
 6/4  〇1-0 コロンビア
 6/6  〇5-1 コートジボワール
 6/8  〇2-0 フランス

・U-17 廣山望監督
 親善試合(スペイン)
 6/5  〇4-1 カナダ
 6/6  〇2-0 モロッコ
 6/8  ●0-1スウェーデン

・U-18 城和憲監督
 フレンドシップ杯(フランス)
 6/1  △1-1(PK4-3) ポルトガル
 6/4  ▲3-3(PK1-3) セネガル
 6/7  〇4-1 ウルグアイ

・U-20 船越優蔵監督
 モーリス・レベロ大会(フランス)
 6/ 4 〇2-0 コンゴ
 6/7 ▲1-1(PK3-4) メキシコ

■1歳違いの代表が「5チーム」も結成

 それぞれのチームの事情はさまざまだ。

 U-20とU-17日本代表は、今年の秋に開催される各年代別ワールドカップに向けての最終調整的な意味合いを持つし、他の年代の代表チームはその先に向けての選手の発掘的な意味を持つと同時に、上の世代でのワールドカップ出場への“飛び級”に向けてのアピールの場でもある。

 そして、挑戦した大会の重要度もさまざまだし、コンディションにも差がある。U-16代表は全勝優勝を飾ったが。彼らが挑戦したのは国内(福島県・Jヴィレッジスタジアム)での「インターナショナル・ドリームカップ」。海外遠征したチームとは状況は違う。

 また、対戦相手にもそれぞれの事情がある。あるチームはその国のその年代の最強チームだろうが、選手層の積み上げを目指して、新メンバーのテストを目的としているチームもあるかもしれない。

 いずれにしても、素晴らしい時代だと思う。日本はサッカーの本場のヨーロッパから地理的に遠く隔てられているが、それを補うべく日本サッカー協会はいくつもの代表チームを海外の大会に派遣し続けてくれているのだ。

 今回は1歳違いの代表チームが5つも結成されて、そのうち4チームがヨーロッパで行われる大会に出場できるというのだから、素晴らしい。

 僕も興味深く、各チームの勝敗はチェックしていたが、すべての大会の模様がテレビ中継やネット配信されているわけではないので、もちろん全カテゴリーの試合をチェックできたわけではない(配信があってもチェックする時間がない場合もある)。

 一方、国内で開催されたU-16の「インターナショナル・ドリームカップ」は現地で観戦することができたが、A代表の活動をはじめ、各カテゴリーのリーグ戦も行われていたので、実際に現地で観戦できたのは1日目のコロンビア戦だけだった。

 従って、これから述べるのは、あくまでも部分的な、あるいは個人的な印象にすぎないということは申し述べておきたい。

■「素晴らしい攻撃」を可能にするのは?

 まず、どの年代のチームを見ても、日本人選手のテクニックや個人戦術的な部分は非常にレベルが高いことが改めて証明された。

 ボールを扱うテクニックはもちろん、ボールを受ける前のポジション取りとか、体の向きの作り方で、相手にチェックされるのを防げているので、ボールを奪われずにつなぐことができる。

 相手のライン間に位置を取ってパスを引き出すとか、サイドバックが前線の状況を見極めて、タッチライン際をオーバーラップするのか、あるいは中のレーンから相手ペナルティーエリア内に侵入するかといった判断もうまい。

 おかげで、パスが何本もつながって相手守備陣を崩し切ってゴールを奪うシーンが何度も見られた。

 たとえば、モーリス・レベロ・トーナメント(旧トゥーロン国際)に出場しているU-20日本代表が、メキシコから奪った先制ゴール。

 MFの小倉幸成が右サイドの中川育にボールを預け、中川をサポートした大関友翔に渡った瞬間、2人より中のレーンを使って、右サイドバックの梅木怜が相手陣内深くのポケットを取る。大関からのパスを受けた梅木は、相手DFと競り合いながらも、マイナスのクロスを入れ、左サイドハーフの西原源樹がダイレクトで決めた。

 U-16代表は、Jヴィレッジで行われた「インターナショナル・ドリームカップ」最終戦でフランスと対戦した。2勝同士の事実上の決勝戦で、前半開始直後はフランスに押し込まれる時間もあったが、センターバックがよく耐え、またオフサイドにも助けられて日本は無失点で切り抜ける。

 そして、20分、左サイドでのスローインから1タッチ、2タッチのパスが小気味よくつながった。そして、センターFWの高木瑛人が1タッチで落としたボールを小笠原央がシュートし、GKが弾いたボールを再び拾った小笠原がつないで、最後は和田武士が右に振って最後は三井寺眞が決めた。

 あれだけパスをつながれたら、フランスにとってはかなりのショックだったろう。

 A代表も含めて、最近の日本チームはこうした素晴らしい攻めがよく見られる。テクニックと戦術眼のレベルが高いからこその攻撃力である。

いま一番読まれている記事を読む