阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で先月あった「全国高校軟式野球選手権大会70回記念 春の軟式交流試合 in 甲子園」(日…
阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で先月あった「全国高校軟式野球選手権大会70回記念 春の軟式交流試合 in 甲子園」(日本高校野球連盟主催、朝日新聞社など後援)に徳島県内から富岡東高校(阿南市)3年の吉田倫太朗選手(17)が出場した。吉田選手は「同じ志を持ついい仲間と出会えた」と振り返る。
試合は、各地の高校から選ばれた軟式野球部の選手50人が、東西の2チームに分かれて行った。
メンバーは試合前日の5月4日に集合し、簡単な打ち合わせをしてから近くの球場で練習。お互いの実力を確認し合った。夜のミーティングで翌日のスタメンが発表され、25人がどの場面で出場するかや、試合の戦術についても細かく打ち合わせた。
投手の吉田選手は右投げ左打ち。三塁手と一塁手はしたことはあるが、事前のミーティングで決まったのは、経験がない外野手。それでも「いい選手が多いので仕方がない」と切り替えた。
試合当日はベンチスタート。西日本選抜の2点リードで迎えた八回表1死一塁、代打で出番が回ってきた。ベンチからの指示は「たたきつけてゴロを打て」。走者を進めようという作戦だが、やったことがなかった。外角高めの直球が来た4球目をたたきつけ、サードゴロ。一塁走者は二塁でアウトにされて走者は進められなかったが、自分は一塁に残った。
「特にサインはなかったが走ろうと思った」。次の打者の3球目、走ったがファウル。4球目も走ったが死球だった。その回の攻撃は無得点で終わり、その後、守備についた右翼に打球は飛んで来なかった。試合は3―0で勝利した。
子どもの頃から野球が好きで、プロ野球阪神のファン。甲子園はテレビで何度も見たが、「グラウンドに足を踏み入れたら身震いした」。家族や学校関係者20人が見守るアルプス席からはブラスバンドの応援も聞こえ「この経験は初めてでうれしかった。打席でも緊張はしなかった」という。「甲子園は行く前はあこがれの地、行ってからは思い出の地ですね」
進学した中高一貫の富岡東に硬式野球部はなく、高校に進学する際、硬式野球部のある別の高校に入り直そうかとの思いもあったが、「軟式のほうが全国大会に出場できるチャンスは大きい」という気持ちになり、軟式野球部に入った。
県内の高校軟式野球部は富岡東と鳴門の2校のみ。徳島大会で鳴門に勝てば四国大会に出場でき、香川、愛媛、徳島の3県代表による四国大会で優勝すれば全国切符を手にできる。
「交流試合のミーティングなどで学んだ知識を仲間に伝えたい。チームとして戦わないと勝てないことを実感した」。今月28日の徳島大会を前にそう意気込んだ。(鈴木史)