岩澤は「フロント陣のブロックがとても見やすかった」と語った(C)Volleyball World バレーボールの女子日本…

岩澤は「フロント陣のブロックがとても見やすかった」と語った(C)Volleyball World
バレーボールの女子日本代表は現地6月8日、カナダで行われている「FIVBネーションズリーグ」予選ラウンド第1週のドミニカ共和国戦に臨み、3-0(25-19、25-21、25-9)で勝利。これで開幕から失セット0の4連勝とした。
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ドミニカ共和国戦ではキャプテン石川真佑(ノヴァーラ/イタリア)のチーム最多20得点を筆頭に、エース対角の佐藤淑乃(NECレッドロケッツ川崎)が19得点、オポジットの和田由紀子(NEC川崎)が10得点と、この日も“三本の矢”が2桁得点をマークして勝利を呼び込んだ。なかでも佐藤は第2セット、14-17のビハインドからサービスエースも含む7得点をあげる鬼神の如き活躍で、試合をひっくり返している。ここで光ったのは佐藤自身の得点力はもちろんだが、チームとしてのブロックディフェンスだ。前衛のブロッカーと後衛のレシーバーを的確に配置することで相手に決定機を許さず、強打レシーブで切り返しては、最後をエースに託したのである。
ときに石川が身体を張ったレシーブを繰り出すなど、チームとしてもディフェンスは不可欠な要素。そこでは、この試合でリベロとして抜擢された岩澤実育(埼玉上尾メディックス)も存在感を放った。
学生時代から世代をリードするリベロとして名を馳せていた岩澤。東京の名門・下北沢成徳高校時代には守護神を務め、全国大会制覇に貢献している。抜群の反応とハードワークをいとわぬ姿勢は彼女に備わっている武器だった。
2017年には女子U20日本代表にも選出され、第19回世界ジュニア女子選手権大会に出場。高校を卒業後に埼玉上尾へ入団したが、同じリベロには絶大なキャプテンシーを持つ山岸あかね(2024-25シーズン限りで現役引退)が君臨し、なかなか出番は巡ってこず。リリーフサーバーとして起用され、そのまま後衛でレシーブに入る、というケースは少なくなかった。
とはいえ、そこでは「もちろん本職のリベロで試合に出たい気持ちが強いですが、リリーフサーバーでもそれはそれで自分が入ること自体が楽しいと言いますか。奮い立たされるような緊張感が心地いいと感じています」と前向きな姿勢で取り組んでいた。2024-25シーズンはリベロでの出場機会も多く、そうして2023年度以来となる女子日本代表に登録、今回のネーションズリーグ予選ラウンド第1週のカナダ大会に帯同し、ついにシニア代表デビューを飾ったのであった。
そのドミニカ共和国戦は「緊張していた」と出だしこそ動きに固さが見られたものの、ゲームが進むごとに持ち前のレシーブ力を発揮。「フロント陣(前衛)のブロックがとても見やすくて、自分のディフェンス力を活かすプレーができた」と試合後には自身の出来を振り返り、併せて、試合前には同じリベロの西村弥菜美(SAGA久光スプリングス)から「相手がどんなことをしてきても、自分たちのプレーをしていこう」という声をかけてもらったことを明かした。
日本のリベロといえば、世界でもトップクラスの評価を受けており、チーム内競争が激しいポジションでもある。パリ五輪に出場し2024/25クラブシーズンは海外でその名をうならせた福留慧美(ミラノ/イタリア)や小島満菜美(ソルトレイク/アメリカ)、サーブレシーブ成功率で国内の日本人選手記録を保持する西村、それに2024-25シーズンのSVリーグトップサーバーレシーバーの川畑遥奈(デンソーエアリービーズ)と好選手がそろうなか、2028年にむけて岩澤実育が新たに名乗りを上げた。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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