「ミスタージャイアンツ」、そして「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さんが亡くなった。野球という競技、あるいはスポーツという…

「ミスタージャイアンツ」、そして「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さんが亡くなった。野球という競技、あるいはスポーツという枠を超えて、日本中に大きな影響を与えてきた人物だった。蹴球放浪家・後藤健生も影響を受けた。「プロ・スポーツとは何か」を教えてもらったのだ。

■ニックネームが「必要」だった理由

 スポーツ選手に、そうしたニックネームを付けて呼んでいたのは、当時のスポーツ報道がラジオと新聞だったからでしょう。

 つまり、一般ファンにとっては映像(動画)を見る機会がないわけです。

 そこで、選手のキャラを立たせて、イメージしてもらうために、ラジオの実況アナウンサーや新聞記者たちは選手にニックネームを付けて報道したのでしょう。

 その後、テレビが普及すると、それぞれの選手(力士)の顔や体形、プレースタイルなどを見ることができるようになり、ニックネームは必ずしも必要ではなくなりました。

 ただ、報道がマスコミに限られていた時代には、実況アナや記者はそれぞれのスター選手に色を付けて報道するわけです。たとえば、インタビューで本人は「僕は……」と言っているのに、紙面では一人称が「ワシは……」に書き換えられているとか、です。

 しかし、最近のように選手本人がSNSを通じて直接発信できるようになると、より等身大の人間としてのイメージが広まっていき、昔のスター選手のようなキャラを立たせる必要はなくなってきました。

■Jリーグを成功に導いた「キング・カズ」

 Jリーグでも、その初期にまさに「キャラが立った」人たちがいたことが成功の原因の一つでした。

 その先頭にいたのが三浦知良(カズ)さんでしょう。今でも、あの真っ赤なタキシード姿は有名ですし、カズ・ダンスもそう。またぎフェイントというのも、まだサッカーのことをよく知らなかった日本人にアピールするプレーでした。いや、当時の日本では「ゴール」という結果だけが求められていると知ったカズは、ブラジル時代はウィンガーとして活躍していたのに、Jリーグではゴールゲッターとしての役割を果たすようになったのです。

 そして、当時のマスコミの記者が発する幼稚な質問に対しても、イヤな顔をせずに、求められたコメントをして見出しを取っていたのです。

 ラモス瑠偉も然り、ゴン中山も然り……当時は、キャラの立ったJリーガーがたくさんいました。

 最近は、うまくてクレバーな選手が増えており、ヨーロッパのトップリーグで2ケタ得点をする選手が何人もいますが、素直でさわやかで真面目な選手たちが多く、「キャラ立ち」という意味では、長嶋さんはもちろん、カズをはじめとする初期のJリーガーにも及ばないような気がします。

 もちろん、今はそうしたものが必要とされる時代ではないのかもしれませんが、サッカー・ファンではない普通の人にアピールするためには、それぞれの選手の持つ明確なキャラが必要な気もします。

 時には、スタンドを沸かせるためのプレーをしてもいいでしょう。

■求められる「キャラが立った」選手たち

 野球選手と言えば、今は解説者・評論家として活躍している高木豊さんは3人の息子さんがサッカー選手になったことでも有名です。3兄弟がそろってJ1でプレーしたのですから、大したものです。僕はスポーツ番組などでご一緒させていただいたこともあって、高木さん(お父さん)とも親しくお話させていただきましたが、あるとき、試合を観ていた高木さんがこう言ったのです。

「3点差でリードしているのに、なんで時間稼ぎなんかするんだ? こういうときこそ、スタンドを唸らせるような派手なプレーをすればいいのに」

「なるほど、プロ・スポーツとしての長い歴史を持つプロ野球出身の人の見方はこうなんだ」と納得したものです。

 真面目なプレーヤーが多いのは日本サッカーの良さの一つなのでしょうが、サッカー・ファンではない一般国民にアピールするためには、長嶋茂雄さんやカズさんのように「キャラが立った」選手もいたほうがいいのではないかと思うのですが……。

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