国際舞台でも活躍した立石は今季ドラフトの目玉だ(C)産経新聞社 大学野球において1年で最大の大会である全日本大学野球選手…

国際舞台でも活躍した立石は今季ドラフトの目玉だ(C)産経新聞社
大学野球において1年で最大の大会である全日本大学野球選手権。昨年は2本塁打を放ってMVPに輝いた佐々木泰(青山学院大→広島1位)、敢闘賞を受賞した吉納翼(早稲田大→楽天5位)、1回戦で3安打を放った浦田俊輔(九州産業大→巨人2位)、初戦で敗れたものの150キロを超えるスピードをマークした広池康志郎(東海大九州キャンパス→ロッテ5位)などが評価を上げてドラフト指名に繋げたが、今年はそれ以上に注目選手が多い印象を受ける。
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まず全選手の中で最注目と言える存在が立石正広(創価大・二塁手兼三塁手)だ。昨年は3年生ながら大学日本代表に選出されると、西川史礁(青山学院大→ロッテ1位)、渡部聖弥(大阪商業大→西武2位)などとともに国際大会でも活躍。秋の明治神宮大会では4試合で15打数10安打、2本塁打、6打点の大活躍でチームの準優勝にも大きく貢献した。ちなみに10安打は大会新記録である。今年春のリーグ戦でも打率.400、5本塁打、16打点をマークしてMVPを受賞。16安打のうち10本が長打(二塁打5本、本塁打5本)というのも見事という他ない。パワーは今年の大学生の中でも圧倒的で、引っ張るだけでなく右方向にも長打を放つことができる。今年から取り組んでいるセカンドの守備もフットワーク、スローイングとも高レベルで、脚力があるのも魅力だ。現時点でも複数球団の1位競合は必至の存在であり、開幕戦から会場となる東京ドームには日米のスカウトが集結することは間違いないだろう。
野手で立石に次ぐ存在となるのが大塚瑠晏(東海大・遊撃手)と小田康一郎(青山学院大・一塁手)の2人だ。大塚は東海大相模時代から高い守備力には定評があったが、大学でさらに磨きがかかった印象を受ける。細かいステップでプレーのスピード感は抜群で、柔らかいハンドリングと正確なスローイングも高レベルだ。打撃も年々力強さが増しており、今年の春はリーグ2位となる打率.390をマークしてベストナインも受賞した。守備は今すぐにでも1軍で通用するレベルだけに、二遊間が補強ポイントの球団にとっては狙い目の選手と言えるだろう。
一方の小田は常勝軍団の青山学院大で1年春から活躍している左の強打者。巧みなバットコントロールでミート力は抜群で、173センチと上背はないものの軽々とスタンドまで運ぶ長打力も備えている。チーム事情もあってファーストを守っているが、脚力と肩の強さもあり、他のポジションを守れるだけの守備力も十分だ。昨年のこの大会では怪我で欠場しただけに、その悔しさを晴らすような活躍に期待したい。
他の野手では大学球界でも上位の守備力は誇る小出望那(大阪産業大・捕手)、小柄ながら抜群の守備力とミート力が光る勝田成(近畿大・二塁手)、強肩とリストの強い打撃が魅力の常谷拓輝(北海学園大・遊撃手)、貴重な右の強打者タイプである西原太一(上武大・外野手)、スピードとミート力が武器の大島正樹(創価大・外野手)、愛知リーグを代表する強打者の秋山俊(中京大・外野手)、この春14試合で23安打を放つ大活躍を見せた阪上翔(近畿大・外野手)などもドラフト候補として楽しみな存在だ。
一方の投手は立石ほどずば抜けた存在は不在だが、上位指名を狙える選手は少なくない。特に評価が高いのが高木快大(中京大)、中西聖輝(青山学院大)、桜井頼之介(東北福祉大)、堀越啓太(東北福祉大)、伊藤樹(早稲田大)、工藤泰己(北海学園大)の6人だ。高木は地方リーグながら昨年から大学日本代表に選ばれている本格派右腕。この春は昨年秋に肘の手術を受けた影響で少し出遅れたが、それでも5勝1敗とさすがの成績を残した。ストレートは数字以上に打者の手元で勢いがあり、制球力も高い。総合力では今年の大学生投手でも1、2を争う存在と言えるだろう。中西は主戦となったのは3年春からだが、昨年はチームの年間四冠に大きく貢献。この春も6勝3完封と圧巻の投球でチームを優勝に導いた。元々まとまりがあったところにスピードもアップし、フォーク、スライダー、カットボールなど変化球のレベルも高い。大舞台での強さも魅力だ。
桜井は好投手が多いチームでも2年秋からエース格として活躍している右腕。多彩な変化球を操り、打者の的を絞らせない投球が光る。投手としては小柄だが、年々スピードアップしており、1回から9回まで140キロ台後半のスピードを維持できるようになった。リーグ内の最大のライバルである仙台大を完璧に抑え込んだ投球を全国の舞台でも再現できれば上位指名も見えてくるだろう。
堀越は150キロ台中盤のスピードが魅力のパワーピッチャー。この春は先発にも挑戦して結果を残せなかったが、リリーフで登板した試合は完璧に抑え込んで見せた。短いイニングであれば大勢(巨人)のように1年目から一軍の戦力となる可能性も高い。伊藤は東京六大学を代表する右腕。ボール自体に凄みはないものの、投球術に関しては大学生でもトップクラスだ。この春は少し調子の波はあったが、スピードもアップしており、明治大を相手にノーヒット・ノーランも達成した。
工藤はスピードに関しては堀越と双璧の存在と言える本格派右腕。3月に行われた巨人2軍との交流戦では、巨人の計測で158キロもマークしている。制球力にはまだ課題が残るものの、スライダー、カットボールの質も明らかに向上しており、リーグ戦では7者連続三振も記録した。初戦で強豪の上武大を相手にどんな投球を見せてくれるかが楽しみだ。
投手では他にも長身でスケールの大きさとまとまりを兼ね備えた赤木晴哉(佛教大)、大学で捕手から投手に転向して才能が開花した大型右腕の山崎太陽(創価大)、肘の手術を乗り越えて出力がアップした変則右腕の田和廉(早稲田大)、リリーフで150キロ台を連発するパワーピッチャーの大矢瑠晟(中京大)、スピードはないもののまとまりが光る左腕の木村駿太(北海学園大)と井出海翔(上武大)なども注目の選手だ。また毎年この大会で一気に評価を上げる選手も出てくるだけに、新たなスターの誕生にも期待したい。
[文:西尾典文]
【著者プロフィール】
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。
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