2016年、レノファがJ2に昇格した年に、クラブの広報担当として入社した。あれから10年。クラブを取り巻く環境は、大き…

 2016年、レノファがJ2に昇格した年に、クラブの広報担当として入社した。あれから10年。クラブを取り巻く環境は、大きく変わった。元日本代表選手やJ1クラブからも選手が加入してくれるようになり、クラブの環境は確実によくなってきている。

 この10年間で、もう一つ大きく変わったことは、かつて小・中学生だった子どもたちが、レノファを見て育ち、トップチームの一員として戦っている。

 その一人が、河野孝汰選手である。

 河野選手のことは、中学生の頃からよく覚えている。プレーはもちろん、言葉遣いや振る舞いも大人びていて、しっかりした印象を受けた。

 そんな彼が昨年9月、試合中に大けがを負い、約8カ月の治療が必要と診断された。入院生活、一人でのリハビリと、決して簡単ではない時間を乗り越え、ようやくチーム練習に合流した。

 「サッカーができるのは当たり前じゃない」

 「一人ではサッカーはできない」

 彼の言葉には、力がこもっていた。彼はきっと、以前よりもたくましくなってピッチに戻り、チームを救うゴールを決めてくれる。そんな日が近づいていると感じている。

 今シーズンのリーグ戦は、18試合を終えて19位と苦しい状況だ。しかし、接戦や無失点で終えた試合も多く、後半戦に向けて巻き返す力はあると信じている。

 そんな中、ある試合後に選手が漏らした言葉が、深く印象に残っている。

 「俺たちは人生をかけてサッカーをしているんだ」

 この言葉に、プロサッカー選手の現実と覚悟が詰まっている。良いプレーをし、試合に勝つことができれば、自身の価値は高まり、より良い環境で長くプレーを続けることができる。

 だが、その逆もある。だからこそ、どの試合も「負けてもよい試合」など存在しない。選手たちは毎日、人生をかけてトレーニングに臨んでいるのだ。

 そんな選手たちの姿や思いを、もっと多くの人に伝えていきたい。そして、彼らと共に戦い、勝利の喜びを一人でも多くの人と分かち合っていきたい。(レノファ山口FC広報室長)

■リーグ戦の成績

5月3日 ●1―3仙台

 6日 ●1―2水戸

 11日 ●0―2徳島

 18日 ○1―0山形

 25日 △0―0藤枝

 31日 △0―0千葉