ラグビーの聖地・花園ラグビー場の先行きに注目が集まっている。老朽化した第2グラウンドの改修を提案したサッカーJ3・FC…

 ラグビーの聖地・花園ラグビー場の先行きに注目が集まっている。老朽化した第2グラウンドの改修を提案したサッカーJ3・FC大阪が約束を守れていないとして、立地する大阪府東大阪市の市議会などで問題視されているためだ。同市の野田義和市長が、朝日新聞の単独取材に応じた。(インタビューは4月3日)

 一問一答は以下の通り。

――東大阪市にとって、花園ラグビー場の位置づけは?

 「日本で初めて設置されたラグビー専用グラウンドで、高校生ラガーの憧れの地です。2019年にはラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の試合も開催し、スポーツを通じた街づくりを掲げる市にとって、シンボリックな存在です」

――FC大阪は2019年に寄付の申し出をした時、国内4部相当でアマチュアリーグの日本フットボールリーグ(JFL)所属でした。規模が大きいわけではないクラブに、市の財産でもある花園ラグビー場第2グラウンドの改修を委ねることに、不安はなかったのでしょうか?

 「プロ(をめざす)クラブなので、自己資金や多くのスポンサーをもっていると聞かされていました。第2グラウンドは、(老朽化のため)そう遠くない時期に何かしらの改修をする必要があった状況でした。改修して寄付を受けられるのだとしたら結構なことだなと(引き受けた)」

 「ただ、あくまで寄付と何かを引き換えにするようなことはないように、そうした契約はしないように、と(担当部局に)指示をした記憶があります」

――FC大阪が寄付の申し出をしたのは、市が花園ラグビー場を含む一帯の指定管理者を募集したタイミングとほぼ同時でした。指定管理者選考の候補者であるFC大阪が寄付を表明したことを、「不公平」と訴える声もあります。

 「指定管理者の選考については選考委員会を設置して、その中で判断されたものです。また、(募集の)要件を満たしていないと手を挙げることもできない。そこに何か不公平感があったという報告は受けていなかったです」

――現状、第2グラウンドの改修がなされていないことについては。

 「コロナ禍もありましたが、早く何とかしてほしいということは再三話をしていました。ただ、条件なしに寄付を受ける側なので、『いつなんだ、いつなんだ』と言うのは、少しためらいがあったのは事実です」

 「議会から『寄付しますと言っただけで、いつの間にか何もなかったということにはならないか』という質問がここしばらく続いていました。なので、履行をちゃんとしてくださいねということで、(6月末に)期限を区切って再協定を結ぶことになりました」

――市として、第2グラウンドの位置づけはどのように考えていますか?

 「FC大阪は第2グラウンドがホームグラウンドというのは、(19年に改修と寄贈の協定を結んだ時から)共通の理解としてあります。ただ、今は第2グラウンドの改修があるので、第1グラウンドをラグビーの試合に支障がない範囲で使ってもらっています」

 「あくまで花園『ラグビー場』なので、ラグビーが最優先。ただ、花園を維持管理するためにはある程度収益も上げていかなければならないので、ラグビーに支障がない前提でサッカーでも使えるのならということです」