オリオールズの先発ローテで柱を担っている菅野。(C)Getty Images 菅野智之(オリオールズ)は、日本球界で培っ…

オリオールズの先発ローテで柱を担っている菅野。(C)Getty Images
菅野智之(オリオールズ)は、日本球界で培った叡智を存分に生かしている。
昨年12月に巨人から海外FAとなった菅野は、オリオールズと最高35万ドル(約5250万円)のオプションが付帯する1年1300万ドル(約20億円)の契約を締結。当初は加齢による衰えや平均球速の遅さによるパワー不足も指摘され、能力を疑問視する声は小さくなかった。
ただ、開幕以降、米球界における菅野の声価は高まる一方である。12先発をし、奪三振率こそ5.07とメジャー平均以下ながら、防御率3.04、WHIP1.04のハイアベレージを記録。スプリットとスライダーを軸とした変幻自在な投球で相手打者を翻弄し、「エース」としての働きを見せている。
もっとも、日本球界での輝きを知る巨人時代の同僚たちにとって、菅野の現況は「当然のこと」だった。
MLB公式サイトの取材に応じた巨人の元助っ人であるスコット・マシソンは、2012年にドラフト1位で入団してきた当時を回想し、「あの時はオオタニ(大谷翔平=現ドジャース)よりもスガノの方が話題になっていたくらいだ」と吐露。そして、ルーキーとは思えぬ振る舞いを見せていた菅野を振り返った。
「ルーキーとして入ってきたときから彼は自信に満ちていたし、エースになるんだっていう空気をまとっていた。あの年齢であの雰囲気はなかなかのものだったと思う」
さらに「あの勤勉さと若手からの信頼の厚さ。とにかく『チームの顔』って感じだった」と風格を振り返ったのは、2018年に先発ローテーションを担ったテイラー・ヤングマンだ。当時の菅野に抱いた印象として「投球術に優れているという点で、グレッグ・マダックスみたいだった」とMLB通算355勝の大投手の名を挙げたヤングマンはこう続けた。
「上下左右、自在に球を動かせるし、ゾーンを巧みに使うことができる。球威はマダックスよりある。とにかく打者との駆け引きが上手だったんだ」
「メジャー移籍が決まったときは本当に嬉しかったし、同時に『絶対やれる』って確信もあった。4、5年前に来ていれば、もっと早く名前を知られていただろうし、彼もそうしたかったとは思うけれど、色々な事情があったんだろう」
ヤングマンが抱いた確信は、マシソンも同様に抱いていた。
山口鉄也、西村健太朗とともに「スコット鉄太郎」という勝利の方程式を担った剛腕は、ブルペンから見守っていた菅野の才覚を次のように評している。
「ただ素晴らしい球を投げるだけじゃなくて、自信を持っていた。メジャーで成功するには、自分を信じきれるかどうかがカギになるんだ。どれだけ才能があって、マイナーリーグから上がってきても、自分を信じることができないと通用しない。そういう意味で、スガノは最初から『自分の球を信じてる』のが伝わっていた。だから日本でNo.1になっていつかはこっちに来るだろうなと思っていたよ」
目下、トレード市場でも人気銘柄となりつつある菅野。メジャーリーグ球団のスカウトマンにとっても垂涎の的となっている“オールドルーキー”の活躍は、巨人時代の同僚たちの言葉を聞くに、必然であったと言えよう。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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