今週は東京競馬場で、第75回安田記念(GI、芝1600m)が行われる。春の古馬マイル王決定戦に各路線から強豪が集結した。…
今週は東京競馬場で、第75回安田記念(GI、芝1600m)が行われる。春の古馬マイル王決定戦に各路線から強豪が集結した。
ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬18頭の全頭診断を行う。
◆【安田記念2025/外厩リスト】古馬GIなら外厩利用馬に注目 「王道ローテ不在」で外厩3トップに軍配か
■安田記念2025 出走予定馬全頭診断
・ウインマーベル
海外競馬で僅差2着の前走。勝った馬がのちのヴィクトリアマイル勝ち馬アスコリピチェーノなら相手に不足はないが、叩き2戦目でパフォーマンスを上げる傾向を見るより、当時からレース間隔があいた点は気がかりだ。東京マイルの経験もなく、この条件で評価を上げるには至らない。
・ウォーターリヒト
東京マイルは4戦3勝と好相性。走れど走れど人気になりにくいタイプで、馬券購入者からすればありがたい存在と言えるのかもしれない。ただ、今回はGIのメンバーに加えて自身初の斤量58キロ。稽古駆けしないタイプにしてもこの中間は目立った動きではなく、ここは様子見が妥当か。
・エコロヴァルツ
2歳馬同士の朝日杯FSこそ2着好走も、その後は直線の短い右回りコースに好走が限定。東京マイルのワンターンがプラスに働くとは思えない。
・ガイアフォース
過去2年の本レースはそれぞれ4着も、今年はダート→海外競馬と一貫性がうかがえないローテーション。テンにいけなくなっている現状も含め、厳しい戦いが予想される。
・グラティアス
1年以上にわたって馬券内から遠ざかる現状。厳しい。
・サクラトゥジュール
オープンクラスの好走は冬競馬に集中。気温が一気に上昇する見込みの今週末を考えると一変を望むのは酷に映る。
・シックスペンス
1番人気に支持された前走大阪杯は7着。初の関西遠征によるマイナス12キロの馬体重減、間隔の詰まったローテーションも影響した印象だ。中山芝で4戦4勝の戦績から切れ味が求められる東京マイル替わりがどうかも、この馬とのコンビで4戦4勝のC.ルメール騎乗なら何らかの印は必要か。
・ジャンタルマンタル
まさかの惨敗を喫した香港マイルから休み明けでの参戦。決して簡単なローテーションではないと思われるが、国内の芝1600mは【3.0.0.0】といまだ負け知らずだ。この中間は坂路4F50秒1と自己ベストを大幅に更新。もともとの力はズバ抜けているだけに、あっさり勝っても驚けない1頭だ。
・シャンパンカラー
徐々に復調気配を示しているものの、今回はGIのメンバーが相手。変わり身は望み薄か。
・ジュンブロッサム
前走マイラーズCはいかにも本番を見据えた一戦。メンバーを考えると勝ってほしかった印象こそあれ、悲観する内容ではないだろう。6-8月の成績【2.2.1.0】が示すように暑い時季が合う馬。ソウルラッシュを下した舞台に加えて、週末東京は良馬場かつ気温が30度近くまで上がる想定。上積み材料は目白押しだ。
・ソウルラッシュ
マイルCS、ドバイターフとGI2勝の実績は断然。特にロマンチックウォリアーを下した前走内容は秀逸で、世界にその名を轟かす一戦となった。4度目の安田記念参戦で勝利を掴みたいところだが、唯一好走した昨年は雨降りしきる稍重の馬場コンディション。パンパンの良馬場かつ夏を思わせる暑さが濃厚な今年の舞台設定がプラスとは言い切れず、取りこぼす可能性も想定しておくべきか。
・ダディーズビビッド
前走の勝利には驚かされたが、7歳にして初のGI挑戦。経験値豊富な馬たちとの比較で分が悪い印象は否めない。
・トロヴァトーレ
芝1600mは【4.1.0.0】といまだ連対外がない馬。目下3戦連続で1分32秒台前半をマークしているように高速馬場適性も高い1頭だ。前走が枠・相手に恵まれた一戦だけに勝ち切るまではどうかも、本レースと好相性のサンデーレーシング所有馬でもありノーマークにはできない。
・ブレイディヴェーグ
マイルCS以降は馬券外が続く馬。とはいえ改めて振り返ると2・3走前は1000m通過57秒台のハイペースで追走に脚を使わされてしまっており、前走は初の海外競馬。終わったと言い切るには早計だろう。確たる逃げ馬不在の今年はスローの上がり勝負が濃厚。上がり3F32秒台を3度記録した極上の切れ味がこの舞台で炸裂するシーンは想定すべきだ。
・ホウオウリアリティ
オープンクラスでは馬券内がない現状。厳しい。
・マッドクール
内枠を引き当てた前走高松宮記念。好スタートも控える形となり、結果的に馬場の悪いインを通らされたことで終いの粘りを欠いた印象だ。国内で4角3番手以内時の成績は【5.1.2.0】。マイルなら楽に先行可能だろうし、逃げ先行馬に騎乗する坂井瑠星騎手は押さえ必須とみる。
・レッドモンレーヴ
2年連続で好走していた京王杯SCは4着。ピークアウトを疑ってしまうところだが、走破時計自体は過去の自分を超えていたように終わったと見限るのは早計だろう。べラジオオペラ、ロードデルレイ、チェルビアットと高速馬場で好走連発のロードカナロア産駒。3着候補として一考。
・ロングラン
目下重賞連勝中の馬。7歳にして上がり3F33秒3の瞬発力を披露した前走は立派も、マイルGIIとは思えないメンバー構成が味方した点は否めない。東京芝を使われるのは新馬戦以来でもあり、連続好走は至難の業か。
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UMAJIN.netより一部編集・転載(2025年6月5日 18:00公開の記事)
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家 競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。