今井は力感のないフォームも注目されている(C)産経新聞社、Getty Images 野球評論家の佐野慈紀氏による、「佐野…

 

今井は力感のないフォームも注目されている(C)産経新聞社、Getty Images

 

 野球評論家の佐野慈紀氏による、「佐野慈紀のシゲキ的球論」が本サイトでスタート。第1回は今季、NPBナンバーワン右腕と呼び声高い、西武・今井達也に注目、“脱力ショートアーム”の投げ方を「伊良部秀輝さんの完成形」と絶賛した。

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 今井は5月31日のオリックス戦(ほっともっと神戸)に先発。勝ち星こそつかなかったが、7回121球2失点とエースらしい力投を披露した。今季はここまで10登板し、5勝1敗、防御率0.83、全10登板でHQS(7回以上、自責2点以下)、奪三振率9.24(1日現在)とすべての面で高いパフォーマンスを示している。

 快進撃の中、注目されているのが、力感がない新投球フォーム。キャッチボールのように超コンパクトなテークバックから、少しギアを上げると、自在に球速を操り、最速160キロを記録した剛速球に打者も攻略に苦しんでいる。

 この“脱力投球”に佐野氏は、現役時代の剛速球で知られた伊良部秀輝さん(ロッテ、ヤンキース、阪神など)の名前を挙げて「伊良部さんがチャレンジしていたことを、今井投手が完成させていると思います」と解説。今井の投げ方はメジャーでも活躍した伊良部氏が目指していたところだったとする。

「昔は下半身にしっかり力を入れて、ためてためて投げると言われていたんですけど、いまはインパクトにいかに力を入れるかというのがトレンドなので。リリースするまで脱力して、最後に力を入れる。打者からしたら絶対打ちづらいと思うんですよ」

 ただし、このインパクトの瞬間まで脱力する投球フォームも投手全員が簡単には実践できるものではないという。

「これは投手にとって永遠のテーマなんですが、なかなか難しいんですよね。全部が全部、脱力感を持って投げようとしても。そもそも持っている体幹力も違うし、下半身の使い方も違いますので」と佐野氏。身体への負担も「投手をやったことある人間なら分かりますが、一瞬のインパクトで力を出すというのは本当に難しいんです。ひじだけでなく、肩への負担も大きいんです。最後に腕を振る動作の反動が大きいんです」と今後においては、注意点もあるとした。

 佐野氏は「だからいろんなタイプの投手がいるんです。自分に合うフォームというのは永遠のテーマです。僕も(右手を失い)左手で投げるのにチャレンジして、その中でショートアームも試したら、全然無理でした。今井投手は自分のフォームを見つけられたのは大きいです」とし、今後の活躍も願う。

 今井が在籍する西武は現在リーグ3位と昨年の低迷から躍進。投手力のチームとされる中、メジャーも注目する今井の快投が引き続き、注目されそうだ。

【さの・しげき】

1968年4月30日生まれ。愛媛県出身。1991年に近鉄バファローズ(当時)に入団。卓越したコントロールを武器に中継ぎ投手の筆頭格として活躍。中継ぎ投手としては初の1億円プレーヤーとなる。近年は糖尿病の影響により右腕を切断。著書「右腕を失った野球人」では様々な思いをつづっている。

 

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