■明大と勝率で並び全日程終了…3日に優勝決定戦 3季連続優勝を狙う早大は1日、東京六大学野球春季リーグの慶大2回戦に6-5で競り勝ち、2勝0敗で今季4つ目の勝ち点を奪取。今季全日程を終了して明大と勝率.692で並び、3日に行われる優勝決定戦…

■明大と勝率で並び全日程終了…3日に優勝決定戦

 3季連続優勝を狙う早大は1日、東京六大学野球春季リーグの慶大2回戦に6-5で競り勝ち、2勝0敗で今季4つ目の勝ち点を奪取。今季全日程を終了して明大と勝率.692で並び、3日に行われる優勝決定戦を戦うことになった。早大は昨秋も同じ明大との優勝決定戦にもつれ込み、4-0の完封勝ちで2季連続の天皇杯を手にしている。

 早大にとっては勝てば優勝決定戦進出、負ければV逸(明大の優勝)が決まる崖っぷちの一戦だった。1点リードで迎えた9回の守備で、2死一、三塁の大ピンチを背負うと、小宮山悟監督は「使う気はなかった」というエース・伊藤樹(たつき)投手(4年)をマウンドに上げるしかなかった。

 伊藤は前日(5月31日)の1回戦に先発し、8回126球を投じて2失点に抑え込んだばかり。連投のリスクは大きかったが、小宮山監督は「捕手の(吉田)瑞樹(4年)が半べそをかきながら『(伊藤に)代えてくれ』というものだから」と苦笑しつつ明かした。絶対的エースの登板は、ナインの総意だったと言えるだろう。

 さすがの伊藤も、最初は制球が定まらなかった。「ブルペンでも(調子は)あまりよくなかった」と明かす。最初の打者・吉野太陽内野手(3年)に対し、初球のストレートは指にひっかかり相手の顔の付近へ。2球目は死球をぶつけてしまい、2死満塁とますます窮地に追い込まれた。

 次打者の横地広太外野手(3年)に対しても、カウント2-0。しかし、ここから踏ん張る。外角高めでストライクを取ると、4球目はファウル。そして5球目、低めのスプリットで一飛に仕留め、薄氷を踏むようなピンチをついにしのぎ切った。

 最後の打者・横地に対する5球は全球スプリット。伊藤は調子が悪い中でも「相手はこれまで何度か対戦してきた打者なので、相手の特徴を頭に入れて、最悪でも(長打を食らわず)同点にとどめたいと考えた時に、スプリットという選択になりました」と沈着冷静だった。

ノーヒットノーラン以降、4試合連続登板となった早慶2回戦で好投した早大・伊藤樹【写真:加治屋友輝】

■ノーヒットノーラン達成以降全試合登板「自分に負けないことかな」

 それにしても、登板してから4球連続でストライクが入らず、このままボールが続く不安に襲われたりはしなかったのだろうか。試合後の会見でそう聞くと、小宮山監督は「プロに行こうかという投手に対して、その質問は愚問でしょう」とピシャリ。伊藤自身も淡々と「やばいなとは思いましたが、そこで四球を出したり、甘く入って打たれたりするなら、そこまでの投手ということ。自分に負けないことかなと思いました」と振り返った。

 早大は今季の優勝争いでは、立大戦で勝ち点を落とし、明大にリードを許す展開に陥っていた。しかし明大との直接対決で、1回戦を落とした後、2回戦に先発した伊藤がノーヒットノーランを達成。翌日の3回戦も、伊藤が9回のピンチにリリーフ登板し、延長10回には自ら適時打まで打って勝ち点をもぎ取り、息を吹き返したのだった。

 伊藤はノーヒットノーラン以降、これで4試合連続登板。こうなれば3日の優勝決定戦も、伊藤が中1日で先発する以外の選択肢はないだろう。伊藤は昨秋の優勝決定戦でも、明大を9回3安打無四球完封しているから、なおさらだ。

「樹に無理を言いましたが、これで優勝決定戦に投げれば“怒涛の5連投”になりますから、それはそれでいいのかなと思います」と述懐。小宮山監督は「“怒涛の5連投で5連勝”。流行語大賞を狙っています」と豪快に笑った。