◇国内女子◇リゾートトラストレディス 最終日(1日)◇グランディ鳴門GC36(徳島)◇6585yd(パー72)◇晴れ(…

稲垣那奈子がうれしいツアー初優勝をあげた(Atsushi Tomura/Getty Images)

◇国内女子◇リゾートトラストレディス 最終日(1日)◇グランディ鳴門GC36(徳島)◇6585yd(パー72)◇晴れ(観衆3293人)

コンビが2戦目の小畑貴宏キャディに「しっかりオーバーめに打っていこう」と言われた。最終18番のバーディトライは下段から上段に切られたピンまで15mもある。首位タイから出た稲垣那奈子は優勝争いに身を置いている実感こそあったが、自分が“どこ”にいるかはわからない。「余裕あるのかな?」と思い、この日初めてリーダーボードを見た。

2位と2打差あった。3パットでもOK。ファーストパットは予定通りカップをオーバー。ただ、返しは2m。パーパットを外し、20cmのボギーパットを決めた。「うわっ!優勝しちゃった」と思った。

2000年度生まれの“ミレニアム世代”で、2022年には日本ゴルフ協会(JGA)のナショナルメンバーに入ったが「優勝とはあまり縁がなくて」と言う。24年の海外メジャー「エビアン選手権」優勝の古江彩佳はもちろん、国内ツアー優勝経験者の西村優菜吉田優利安田祐香らは「ずっと雲の上の存在」だった。「(彼女たちに)勝ちたいとかでなく、私も活躍したいという感じ」だった。

母・宣子さんは東京・共立女子第二高を卒業した年のプロテスト受験を勧めた。一発合格を考えず「回数を、早めに受けた方がいい」と言われたが拒否。「私が勉強したいことがあった。全国大会でぽんぽん勝てるような選手じゃないし、頭も心も技術も未熟だった」。腰痛に悩んだ経験から、アスリート選抜入試で早大スポーツ科学部に進んだ。「これまでいろいろありましたけど、すべてが糧になっている。間違ったことはなかったんだと思います」。優勝インタビューでそう言ったのは、実感だ。

アマチュアで出場したツアーは15試合あるが、予選通過は2020年「日本女子オープン」だけで68位。プロでは13試合に出て、最高成績が24年「ゴルフ5レディス」と今年4月「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」の14位でトップ10は一度もなかった。

プロ2年目の初優勝。稲垣は「早いに越したことはないですけど、正直かなり早いと思います。昨年をステップアップツアーで過ごし、今年はレギュラーツアーのルーキーのつもりなんで」と照れ笑いを浮かべた。

「上下関係がしっかりしていて、練習もトレーニングもハードでした」という早大ゴルフ部OGには1996年から日本女子アマ2連覇を達成、プロ転向後に米ツアー参戦経験もある中島真弓がいるが、ツアー優勝は初めて。「ゴルファーである前に人としてしっかりしたい。その上で強くなって、みんなに愛されるようになれたら」。派手さはなくても、堅実で誠実に。稲垣が理想のプロゴルファー像へ歩き出した。(徳島県鳴門市/加藤裕一)