スペインGPでも苦戦し、Q1敗退の憂き目にあった角田。(C)Getty Images本人の言葉ににじみ出る手詰まり感 ど…

スペインGPでも苦戦し、Q1敗退の憂き目にあった角田。(C)Getty Images
本人の言葉ににじみ出る手詰まり感
どうにも改善の兆しが見えてこない。
現地時間5月31日、F1の今季第9戦、スペインGPの公式予選がバルセロナのカタルーニャ・サーキットで行われ、レッドブルの角田裕毅は最下位の20番手で1回目(Q1)での敗退。決勝でのポイント獲得に向けた見通しも立たない状況となった。
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3月27日のレッドブル昇格以降で、角田が最後尾で決勝を迎えるのは、第7戦のエミリア・ロマーニャGP以来、今季2度目の出来事である。しかも、今回は公式予選でのクラッシュでマシンを大破させてしまった当時と違って、大きなアクシデントもなかった。
しかし、タイムが伸びない。「ほぼすべてのセットアップを試してきた」という角田も「問題ないと思っていたし、ミスもなかった」と振り返るようにエンジニアたちと試行錯誤を繰り返し、最大限の改善は図ってきた。それでもマシンのスピードは上がらない。Q1セッションが終了する直前に行った最終アタックでのタイムは1分13秒385となった。
「これ以上セットアップを変えても、もはや意味をなさない」
そう嘆く本人の言葉からも手詰まり感は否めない。だとすれば、一体何が原因なのか。英メディア『The Race』は「ツノダはチームメイトのマックス・フェルスタッペンからコンマ6秒も遅れた。もはやポイント争いに加わるのはほぼ不可能で、残念でしかない週末となった」と言及。その上でレッドブルのマシンが抱える「事情」にメスを入れている。
「イモラでのQ1の最初のラップでツノダが大きなクラッシュを経験した影響で、彼のマシンは最新のフロアパーツがまだ装着されていない。そのため、フェルスタッペンとは少し異なる仕様になっている。これは約0.1秒程度の差になることが考えられているが、レッドブルがセッティング範囲を拡大するための取り組みの一環でもある」
そもそもレッドブルは“絶対的エース”であるフェルスタッペンを優先的にチーム構築している。そのため、あくまでセカンドドライバーに過ぎない角田のマシンとは多少なりとも差があるというわけである。
角田には「まだ大きな改善の余地が残されている」
さらに同メディアは、昨年のスペインGPでも、当時のセカンドドライバーであったセルジオ・ぺレスとフェルスタッペンの間に、今回の角田と同様にコンマ6秒の差が出ていたと指摘。そして「フェルスタッペンはワールドクラスのドライバーであり、扱いにくいレッドブルのマシンを速く運転する類まれな才能の持ち主でもある。つまりツノダのパフォーマンスを寛大に解釈すると、それはフェルスタッペンのチームメイトとしては普通の範囲内の中では悪い方だが、完全なる大惨事というわけではない」と断言している。
「しかし、極めて密集したグリッド配置が、通常ならQ2通過に十分だったはずの差を、恥ずかしい20位という結果に誇張してしまっている」
不振を極める角田については、一部メディアで姉妹チームのレーシングブルズで好走を続けるアイザック・ハジャーとの電撃交代も囁かれている。だが、その話題について同メディアは「ツノダのドライビングにはまだ大きな改善の余地が残されている」と強調。その上で、25歳の日本人ドライバーが抱える課題を指摘している。
「フェルスタッペンとの差がグリップ不足によるものなのか、それとも単純に技術が劣っていただけなのかを見極めるのは難しい。どちらの可能性も考えられる。今のツノダはフェルスタッペンのようなドライビングを試みていることが知られている。彼はそれがマシンの性能を最大限に引き出すために不可欠だと考えている。
しかし、レッドブルは、彼が限界を受け入れ、より自然なドライビングに集中する必要があると感じている。実際、スペインGPでの公式予選でツノダは高速域で明らかに弱点を露呈した。高速コーナーであるターン10の右コーナーで0.1秒も失い、最終コーナーでも大きなリフトが発生し、高速アンダーステアに苦戦した」
マシンに苦悩している角田の置かれた状況は芳しくはない。それでも「個人としてできることはすべてやる」と意気込む彼がいかに立ち直るかは興味深い。“常勝軍団”での生き残りを考えれば、ここから先は今以上の結果を残すことこそが求められるが、果たして――。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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