カスティージョ戦をTKOで勝ち切ったアフマダリエフ。井上戦を見据えた巧みな試合運びが光った。(C)Getty Image…

カスティージョ戦をTKOで勝ち切ったアフマダリエフ。井上戦を見据えた巧みな試合運びが光った。(C)Getty Images
決戦への機運が一気に高まった。
現地時間5月30日、ボクシングのWBA世界スーパーバンタム級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)が、メキシコのグアダラハラで行われた同級ノンタイトル10回戦でルイス・カスティージョ(メキシコ)に8回TKO勝利。昨年12月のリカルド・エスピノサ(メキシコ)戦以来となる一戦でしっかりと勝ち切った。
【動画】相手がフラフラになる猛打! アフマダリエフの最新TKOシーンをチェック
持ち前のパワーを発揮した。5回に強烈な左ボディーを打ち込んでダウンを奪ったアフマダリエフは、続く6回にも左フックで2度目のダウンを奪取。これで完全に流れを掌握した30歳は、8回に試合を終わらせる。左の連打で、カスティージョを守勢に回すと、最後は顔面に左フックを炸裂。ここで敵陣営からタオルが投げ込まれ、決着となった。
試合全体では、ダイナミックな攻撃は見られず、大きな被弾を避ける慎重な動きに終始したアフマダリエフ。今年9月の対戦が確定的となっているボクシングの4団体世界同級統一王者の井上尚弥(大橋)とのメガマッチを見据え、ダメージを最小限に抑える危なげない試合運びが印象に残った。
それでも最後はTKOで仕留めた剛腕には、地元メディアも賛辞を惜しまない。ウズベキスタンのニュースサイト『Zamin』は「カスティージョは辛抱強く、幾度となく危機を耐え抜いた」と相手のしぶとさを称えた上で「それでもアフマダリエフは漲る闘志とハイスピードで相手を翻弄。最後はカスティージョが耐え切れないほどの強烈なパンチを何度も繰り出して試合を終わらせた」とフィニッシュシーンを描写した。
そして、「我が国の名誉を守るにふさわしいムロジョンには、非常に重要かつ決定的な一戦が控えている」と強調した同メディアは、すでに両陣営が「交渉は終わっている」と公言している井上とのタイトルマッチへの期待を綴った。
「アフマダリエフは、ボクシング界のスーパースターであるナオヤ・イノウエと対戦するために日本のリングに上がる。この一戦は、すべてのボクシングファンが待ち望んでいるビッグイベントの一つであり、アフマダリエフにとっては新たな試練となるだろう。今は、ウズベキスタン国民全体が彼の試合に大きな関心と期待を抱いて見守っている。イノウエとの試合で彼は、ボクシング史に新たな1ページを刻むことになるだろう」
共に“前哨戦”と言える対決を制した井上とアフマダリエフ。果たして、両陣営が熱望していた対戦はいかなる決着を見るのか。ゴングまで時間はあるが、今から興味は尽きない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
【関連記事】井上尚弥は「間違いなくバケモン」 中谷潤人の名参謀が一蹴していたベガス決戦後の“ダウン批判”「そういう意見は虫唾が走る」
【関連記事】「1年後も全盛期だ」井上尚弥、中谷潤人の名参謀が米誌で語った“衰え論”に異見!「言い訳なんかしない。誰も衰えちゃいない」
【関連記事】「厳しい戦いになる」井上尚弥のフェザー級転向に慎重論 かつての宿敵ドネアが私見「彼のパワーが同じように際立つだろうか?」